農業生物資源研究所、ブタの遺伝子の塩基配列データベース「Pig Expression Data Explorer(PEDE)」を公開

農業生物資源研究所がブタの遺伝子の塩基配列データベース「Pig Expression Data Explorer(PEDE)」を公開した(2006-11-10)。詳細なプレスリリースからはこのデータベースが持つ大きな意味をうかがえるが、残念ながらデータベースそのものは英語で公開されている。実際の利用者は限られてはいるだろうが、ぜひ日本語での公開にも取り組んでほしい。データベースは、農業生物資源研究所と農林水産先端技術産業振興センターの農林水産先端技術研究所が共同して進める家畜ゲノム解析研究プログラムにおいて開発されたようだ。

・Pig Expression Data Explorer(PEDE)
http://pede.dna.affrc.go.jp/
・「世界最大のブタ完全長遺伝子情報の総合データベースを公開」(農業生物資源研究所2006-11-10
http://www.nias.affrc.go.jp/pressrelease/20061110_1/
農業生物資源研究所
http://www.nias.affrc.go.jp/
・農林水産先端技術産業振興センター
http://web.staff.or.jp/
・農林水産先端技術研究所
http://www.institute.staff.or.jp/
・家畜ゲノム解析研究プログラム
http://animal.dna.affrc.go.jp/agp/index-j.html

著作権保護期間の延長問題を考える国民会議、サイトを公開

2006年11月8日に設立を発表した著作権保護期間の延長問題を考える国民会議のサイトが公開されている(公開日不明)。同会議は、著作権保護期間の延長問題について、権利者団体や利用者団体の間の議論に留まることなく国民的な議論を尽くすことを求めており、クリエイター、アーティスト、企業関係者、図書館関係者、研究者、法律家なら64名の発起人によって構成されている。
もし著作権の保護期間が70年に延長されれば、インターネットで築き上げられてきた電子テキストの中には、公開の継続が危ぶまれるものも少なくない。電子テキストを公開してきた研究者にとってもけっして他人事ではないはずだ。電子テキストに関わってきた研究者の方々はこの問題をどうとらえるだろうか。
なお、12月11日(月)の午後5時30分から午後8時まで、東京の東京ウィメンズプラザ円形ホールでこの問題を扱う第一回目のシンポジウムが開催される。シンポジウムへの参加は無料だが、サイトで事前に申し込む必要がある。


著作権保護期間の延長問題を考える国民会議
http://www.thinkcopyright.org/
・「「議論尽くさない著作権保護期間の延長にNO」・作家や弁護士らが団体発足」(IT-PLUS、2006-11-08)
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITba002008112006
・「著作権の保護期間延長に慎重論議を 別役実氏ら申し入れ」(朝日新聞、2006-11-08)
http://www.asahi.com/culture/update/1108/018.html
・「クリエイターら、著作権保護期間延長の議論を呼びかける国民会議発足」(INTERNET Watch、2006-11-08)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/11/08/13870.html

国立極地研究所、南極観測50年のホームページを公開

国立極地研究所が南極観測50年のホームページを公開した(2006-10-24)。昭和基地を建設した1956年の第一次観測隊以来の50年の歴史を紹介している。特に第一次から第四十八次までの観測隊の歴史と参加隊員の名簿をまとめた「観測の歴史と参加隊員」のページは圧巻。貴重なリソースとなるだろう。
だが全般的にはサイトのつくり方には難点が多い。内容の不足だけでなく、各ページの内容を把握しづらい構成やほとんどのページがポップアップ形式で開かれる体裁はいただけない。また、サイトでは「南極地域観測50周年記念シンボルマーク」が用いられているが、ロゴをはさむ上下の文字「南極地域観測50周年記念」の色が本来のシンボルマークとは異なっている。サイトのデザインに沿った柔軟な変更といえばそれまでだが、それではせっかくシンボルマークを定めた意味がない。制作中のページが散見されるのも50周年の年が終わりに近づいていることを思うと、取り組みが遅すぎるのではないだろうか。50周年は南極観測の歴史と意義をアピールするまたとない機会である。本来なら年頭にサイトを公開し、50周年の気運を盛り上げていくためにサイトを徹底的に活用すべきではなかっただろうか。

・南極観測50年のホームページ
http://polaris.nipr.ac.jp/~50thJARE/
国立極地研究所
http://www.nipr.ac.jp/japan/
文部科学省 - 南極地域観測事業
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/nankyoku/
・南極地域観測50周年記念シンボルマーク
http://polaris.nipr.ac.jp/japan/topics/symbol-50th/
2006-08-25(Fri)の編集日誌「南極地域観測50周年記念シンボルマーク」
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060826/1156530690

新曜社、ブログ「新曜社通信」を公開

社会学・心理学系の学術出版社として知られる新曜社がブログ「新曜社通信」を公開した(2006-10-04)。同社はこれまでメールマガジン新曜社<新刊の御案内> 」を発行してきたが、あらたにブログの活用に乗り出したようだ。同社のサイトにある「掲示板再興」(営業部員のノートから、2006-10-04)を読むと、どうやら掲示板の代替として始めたようで、幾分戸惑いもあるようだ。しかし、出版社の発信手段としてブログは有用なツールとなる可能性を秘めている。ぜひ1999年10月14日の創刊から実に7年も継続してきたメールマガジン同様、息の長いコンテンツとして育てていってほしい。

新曜社通信
http://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/
・「Q メイロウィッツ「場所感の喪失」の下巻」(2006-10-04
http://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/q_57db.html
メールマガジン新曜社<新刊の御案内> 」
http://www.mag2.com/m/0000018252.html
・「掲示板再興」(営業部員のノートから、2006-10-04
http://www.shin-yo-sha.co.jp/eigyou.htm
新曜社
http://www.shin-yo-sha.co.jp/

日本平和学会、サイトをリニューアル

日本平和学会がサイトをリニューアルした(2006-09-26)。サイトの構築に国立情報学研究所(NII)が提供する「NetCommons」を利用している。情報共有・e-ラーニングの基盤をうたう「NetCommons」だが、使い勝手の点ではまだ課題が多いように感じている。日本平和学会はサイトをNetCommons版に全面的に移行するようだが、「NetCommons」は学会活動が求める利便性を提供できるか、その意味でも注目されるリニューアルである。なお、他に「NetCommons」を利用している学会として、日本総合学習学会がある。

日本平和学会(新サイト)
http://www.psaj.org/
日本平和学会(旧サイト)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/psaj/
NetCommons
http://www.netcommons.org/
・日本総合学習学会
http://mathnet.kusm.kyoto-u.ac.jp/

2006-11-12(Sun): 山田園子『ジョン・ロック『寛容論』の研究』(渓水社、2006年、6825円)

政治思想史ホームぺージで「ジョン・グッドウィンおよび関連文献目録」や「ホッブズ『ビヒモス』書誌」、そして「ジョン・ロック『寛容論』四手稿 校訂・翻訳」を公開してきた山田園子さんの著書

・『ジョン・ロック『寛容論』の研究』(渓水社、2006年、6825円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4874409474/arg-22/

が出版された。本書として結実した研究の一環としてつくられたのが上記の「ジョン・ロック『寛容論』四手稿 校訂・翻訳」である。個人サイトで公開してきたリソースと密接に結びついた本書の出版はうれしい。山田さんのお仕事に感謝したい。
ちなみに本書の凡例には次の一文がある。

『寛容論』日本語版は、山田が試みた英語版校訂から作成した。この英語版校訂については、以下のホームページを参照されたい。このホームページは本書の日本語版も掲載する。
http://www.law.hiroshima-u.ac.jp/profhome/yamada/Locke.html
 このホームページは2002年4月にアップを開始し、その後、修正更新を続けている。本書刊行後も、ホームページの定期的な更新を行なう。

(凡例、iii)

本格的な学術書で著者の個人サイトとの連動を謳った初の事例ではないだろか。
なお、本書の目次は以下の通り。

序章 本書の課題と構成
第1章 『寛容論』四手稿の特質

  1. 本章のねらい
  2. 『寛容論』四手稿の特質と執筆経過
  3. ヘンリー・E・ハンティントン図書館所蔵手稿の構造的特質
  4. 四手稿から読み取れるロックの寛容論の展開過程
  5. 小括

第2章 『寛容論』四手稿の課題と背景

  1. 本章のねらい
  2. 歴史的背景と問題の所在
  3. 『寛容論』執筆に至るまで
  4. 『寛容論』の課題

第3章 『寛容論』における非国教徒観

  1. 本章のねらい
  2. 非国教徒論の視点
  3. 非国教徒観の推移
  4. 非国教徒の処遇
  5. 小括

第4章 『寛容論』の包容・寛容策

  1. 本章のねらい
  2. 現行国教会護持
  3. 包容的国教会
  4. 主教制国教会と非国教徒寛容
  5. 非国教徒の信仰の自由
  6. 包容・寛容策
  7. ロックの包容・寛容策

結び
補章 ロックとキリスト教

  1. 研究史の整理
  2. 展望

資料編 『寛容論』日本語版

  1. 日本語版テキストの編集方針
  2. 凡例
  3. 日本語版テキスト

あとがき

また、山田さんには、

・『イギリス革命の宗教思想−ジョン・グッドウィン研究』(御茶の水書房、1994年、6615円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4275015371/arg-22/
・『イギリス革命とアルミニウス主義』(聖学院大学出版会、1998年、6090円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/491583218X/arg-22/

という前著が二冊ある。

・政治思想史ホームぺージ(山田園子さん)
http://www.law.hiroshima-u.ac.jp/profhome/yamada/yamada.htm

2006-11-11(Sat): 地域貢献シンポシオン2006「「新たな産学連携」−コミュニティとCSR−」

知り合いの方からお知らせいただいたので、ここで紹介。11月19日(日)に電気通信大学で地域貢献シンポシオン2006「「新たな産学連携」−コミュニティとCSR−」という催しがあるとのこと。FC東京小田急電鉄、SUNTORYなど、多摩地域と関わりの深い企業からの報告が多数予定されている。パネルディスカッションのコメンテーターとして、『インターネット市民革命−情報化社会・アメリカ編』(御茶の水書房、1996年、2940円)の著者・岡部一明さんが登場するらしく、それだけでも参加の価値があるかも知れない。

・ 地域貢献シンポシオン2006「「新たな産学連携」−コミュニティとCSR−」
http://www.uec.ac.jp/info/event/
・岡部一明ホームページ
http://www5d.biglobe.ne.jp/~okabe/
・『インターネット市民革命−情報化社会・アメリカ編』(御茶の水書房、1996年、2940円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4275016262/arg-22/

2006-11-10(Fri): 『丸山眞男回顧談』上下巻

・『丸山眞男回顧談(上)』(岩波書店、2006年、2625円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4000021680/arg-22/
・『丸山眞男回顧談(下)』(岩波書店、2006年、2625円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4000021699/arg-22/

を読了。
10回を超える聞き取りを元に回顧談としてまとめ上げた編者と編集者の力量と熱意に脱帽する。丸山眞男が構想していた大学の制度改革案が非常におもしろい。

2006-11-09(Thu): ビジョンやミッションを謳うこと −産業技術総合研究所(産総研)を訪れて

別件で産業技術総合研究所産総研)の東京本部秋葉原サイト(秋葉原ダイビル内)を訪れたのだが、帰りがけに「憲章 −社会の中で、社会のために」と題した小冊子をいただいた。産業技術総合研究所産総研)の研究者や職員が共有するという行動理念が、

  1. 社会動向の把握
  2. 知識と技術の創出
  3. 成果の還元
  4. 責任ある行動

の4点に渡ってまとめられている。これは非常に素晴らしい。産業技術総合研究所産総研)のサイトでも、トップページの左側にある「産総研について」をクリックすると、「理事長挨拶」の下に「憲章:「社会の中で、社会のために」」というリンクがあり、そこで公開されている。

・「憲章 −社会の中で、社会のために」
http://www.aist.go.jp/aist_j/information/charter/charter.html

だが、せっかくの憲章だけにサイト上で探しにくいのはもったいない。産業技術総合研究所産総研)のサイトのトップページにもっとわかりやすく4つの行動理念を記載するとよいのではないだろうか。もっとも、ビジョンやミッションをサイト上でわかりやすく表示しているところは少ない。優れた事例としてどこが挙げられるだろう?
ところで、産業技術総合研究所と言葉にするときいつも思うのだが、産業技術総合研究所の略称としては日本語の「産総研」と、英語の「AIST」(National Institute of Advanced Industrial Science and Technologyの略)のどちらがよいのだろうか。国内では「産総研」、国外では「AIST」という使い分けがあるのだろうか。だが、略称は親しみとともに呼び習わされる愛称ともなるだけに、どちらかに統一したほうがよいのではないか。ちなみに産業技術総合研究所のサイト(日本語版)では、ほぼ一貫して「産総研」が使われている。ただし、ロゴやドメインには「AIST」が使われている。ウェブでのブランディングとしては好ましくない状態だ。思い切った統一を図れないだろうか。

産業技術総合研究所産総研
http://www.aist.go.jp/

2006-11-08(Wed): 大串夏身『チャート式情報アクセスガイド』(青弓社、2006年、1680円

・『チャート式情報アクセスガイド』(大串夏身青弓社、2006年、1680円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4787200348/arg-22/

が刊行された。
ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG)も代表的な学術関係のメールマガジンとして紹介いただいている。この点は大串さんにお礼を申し上げたい。
だが、残念なこともあった。本書中の135ページで、「岡本真」ではなく「岡田真」と名前が誤記されている。ちなみに大串さんの前著の一つである

・『文科系学生のインターネット検索術』(大串夏身青弓社、2001年、1680円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4787200259/arg-22/

でも同様の誤記があった。当時、出版元の青弓社に誤記がある旨を連絡したはずだが、結局今回も同じ誤りが残ってしまった……。まったく同じ誤記が同じ著者の別々の本に載ってしまったわけだが、著者と編集者は本書の出版にあたって紹介するリソースの再調査や再確認を行っているのだろうか。誤記の箇所を含め、紹介いただいた文章がまるまる前著と同じであるだけに、そして本書が「情報」をテーマにしたものであるだけに、ひっかかりを感じる。

青弓社
http://www.seikyusha.co.jp/