2005-06-19(Sun):

規制緩和の一環として、最近「市場化テスト(官民競争入札)」が注目されつつあるようだ。新聞各紙で構想が報道されることも増えている。これは、従来、国が担ってきた事業、いわゆる公共サービスの入札を官民参加で行い、入札結果によっては、公共サービスの担い手を民間に移そうとする試みだ。すでにハローワーク社会保険市場化テストのモデル事業になっている。なぜ、この話題をとりあげるかといえば、市場化テストの主たる対象として、独立行政法人が挙げられているからである。たとえば、先週(2005-06-13)の平成17年度第3回規制改革・民間開放推進会議では、「民間にも類似の事業が多く存在し、法人化によって“官業の看板のかけかえ”となっている可能性があることなどから、積極的に実施対象とすべき」との指摘がみられる(宮内義彦議長提出資料)。これはこれで一つの見方であり否定はしないのだが、市場化テストの対象とすべき事業は何か、また逆に市場化テストの対象とすべきではない事業は何か、という目安づくりを望みたい。独立行政法人が行う事業は多種多様であり、そのすべてについて「民間にも類似の事業が多く存在」するとはいえないはずだ。市場化、あるいは民間参加を意識するあまり、公共サービスとは何か、という問いが失われることがあってはいけない。安易に市場化テストを推進するだけでは、一部の独立行政法人が果たしてきた公共サービスならではの継続的な調査・研究が失われる可能性は少なくない。私はこの可能性を危惧する。規制改革・民間開放推進会議には、市場化テストを導入するうえでの明確な判断基準を示してほしい。そして、独立行政法人には、公共サービスならではの事業、市場化テストにはそぐわない事業があるならば、そのことをいち早く発言していってほしい。

市場化テスト(官民競争入札
http://www.kisei-kaikaku.go.jp/market/
市場化テストの本格導入による官製市場・官業の抜本改革
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2005/0607/item2.pdf
規制改革・民間開放推進会議
http://www.kisei-kaikaku.go.jp/