奈良県立図書情報館、サイトを公開

奈良県立図書情報館が開館し、サイトが正式に公開された(2005-11-03)。蔵書検索(OPAC)をはじめ、絵図展示ギャラリー、「戦争体験文庫」非図書資料などが公開されている。絵図展示ギャラリーで、同館が所蔵する寺社や名所、古地図などの122点の電子化資料を、「戦争体験文庫」非図書資料で戦時債券などの珍しい画像を公開しており、幅広いコンテンツを用意している。また、コンテンツと蔵書検索(OPAC)の連携が図られていることがすばらしい。たとえば、絵図展示ギャラリーにある絵図「大和国多武峰 関西日光全図」のページから、蔵書検索で「大和名所絵図」を検索した結果にリンクしている。蔵書検索の有意義な使い方といえるだろう。
他方、難点も少なくない。まず、同館のトップページではFlash画像が延々と流れるようになっている。図書館のサイトはたまに訪れる場所ではない。日常的な利用を重視するのであれば、このようなトップページは好ましくない。
また、絵図展示ギャラリーを閲覧するには、利用者がドリームテクノロジーズ社の高解像度画像ビューワ「ZOOMA」を使わなくてはいけない。無料で使用できるソフトとはいえ、特定企業の製品に完全に依存するべきではない。通常のブラウザだけで閲覧できる画像も用意すべきだろう。
そして、蔵書検索(OPAC)である。検索画面は、簡易検索と詳細検索の2つが設けられているが、同館のサイト内からはまず詳細検索にリンクしている。だが、これは簡易検索へのリンクのほうがよい。一般の利用者にとっては、詳細検索はかなり高度で使いづらいものだ。せっかくキーワードを入れれば検索できる簡易検索を用意しているのなら、まず最初に利用者にみせるべきは簡易検索のほうだろう。蔵書検索について指摘しだせばきりがないが、もう一つだけふれておきたい。蔵書検索の画面の背景に「LIMEDIO」という文字が浮かんでいる。蔵書検索のページ下部にある著作権表示は、「Copyright (c) 1994-2005 RICOH COMPANY, LTD. All Rights Reserved.」と記されている。「LIMEDIO」はリコーが提供する図書館システムのことであり、この蔵書検索には「LIMEDIO」が用いられていることがわかる。だが、同館は公共の施設である。そこでこのような形で特定企業の商品を紹介する必要があるだろうか。
以上、課題も数多く指摘したが、開館前からメールマガジン「Lib Info NARA −奈良県立図書情報館通信」を発行するなど、情報発信に力を注いできた同館の地力を発揮し、改善を進めていってほしい。

奈良県立図書情報館
http://www.library.pref.nara.jp/
・絵図展示ギャラリー
http://www.library.pref.nara.jp/gallery/ezu/
・「戦争体験文庫」非図書資料
http://www.library.pref.nara.jp/gallery/sentai/hitosyo/
大和国多武峰 関西日光全図(絵図展示ギャラリー)
http://www.library.pref.nara.jp/gallery/ezu/meisyo/meisyo019/
・ZOOMA
http://www.dreamtechnologies.com/zooma/
ドリームテクノロジーズ
http://www.dreamtechnologies.com/
・蔵書検索
http://opacsvr01.library.pref.nara.jp/mylimedio/search/search.do
・LIMEDIO
http://www.ricoh.co.jp/limedio/
・蔵書検索のヘルプ
http://opacsvr01.library.pref.nara.jp/mylimedio/help/help.do?page=toc
・Lib Info NARA −奈良県立図書情報館通信
http://www.library.pref.nara.jp/netservice/mailmagazine.html