2006-03-24(Fri): 国会図書館改革のその後

毎日新聞(2006年3月20日、朝刊)に「闘論:国会図書館改革 坂本由紀子氏/成田憲彦氏」という記事が掲載されたようだ。すでに「Copy & Copyright Diary」で末廣恒夫さんが紹介・指摘しているが(「国会図書館改革」2006-03-22)、成田憲彦さんの発言に驚かされる。

国際子ども図書館、関西館など本来の役割を超えて肥大化している機能もある。」

細川内閣で総理秘書官を務め、その後駿河台大学に転じ現在は副学長を務める成田さんだが、元は国立国会図書館の職員として調査立法考査局政治議会課長を務めた人物である。元国会図書館職員がこのような認識を持っているとは心底驚く。2006-02-02(Thu)の編集日誌「国立国会図書館独立行政法人化構想に接して」で述べたように、国際子ども図書館や関西館は、国立国会図書館法に定められた国立国会図書館の役割であることをあらためて指摘しておきたい。

記事は毎日新聞記者が構成したもののようなので、成田さんが上記のような発言を本当にしたのか、一応留保はしておきたいが、それにしても……と思う内容だ。だが、一歩引いてみてみると、闘論と題しつつも、坂本さんと成田さんの議論はかみあっていないことがわかる。いや、かみあわないというよりは、政治の都合から今回の国会図書館改革を語っているに過ぎないという点で、基本的に同じ立場にあることがわかるだろう。

この記事を読めば読むほど、そのことをひしと感じる。いま国会図書館改革をめぐる本当の問題は、論点が政治改革の一点に集約されていることだろう。矮小化ともいっていい。先日の編集日誌で指摘したように、国会図書館改革に臨むのであれば、日本の文化政策・文化行政の改革として位置づけるべきではないのか。まずは毎日新聞をはじめ、報道機関にこの点を確認してほしい。

・「闘論:国会図書館改革 坂本由紀子氏/成田憲彦氏」
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060320ddm003070117000c.html
坂本由紀子さん
http://www.sakamoto-y.com/
・成田憲彦さん
http://www.surugadai.ac.jp/houka/lecturer/narita.html
・「国会図書館改革」(Copy & Copyright Diary、2006-03-22
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20060322
2006-02-02(Thu)の編集日誌「国立国会図書館独立行政法人化構想に接して」
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060204/1139046886