国立国会図書館、近代デジタルライブラリーをリニューアル(2006-04-04)

国立国会図書館近代デジタルライブラリーをリニューアルした(2006-04-04)。今回のリニューアルに伴い、同館が所蔵する明治時代の書籍6万7千冊が新たに電子化され、公開されている。6万7千冊が追加されたことで、合計12万7千冊が公開されていることになる。同館が著作権調査を行ったのが約16万冊というから、約8割の書籍が電子化されたということになるだろうか。
電子化された書籍が倍増したことは、実際に使ってみると実感する。たとえば、「転石ハ苔を生ぜず」ということわざの日本での初出事例である『一語千金』(1888年)と『和漢泰西俚諺集』(1890年)で検索すると、それぞれ以下のようなデータがみつかる。
・『一語千金』(1888年
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=40000954&VOL_NUM=00000&KOMA=16&ITYPE=0
・『和漢泰西俚諺集』(1890年)
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=40000954&VOL_NUM=00000&KOMA=16&ITYPE=0
これまでには考えられなかった体験である。12万7千冊という近代デジタルライブラリーの蔵書数の効果だろう。
さて、今後の課題として、電子化の継続以外に次の点を挙げておきたい。
1. NDL-OPACとの連動
2. 本文検索の実現
3. 本文画像画面の操作性向上
特に、明治期の書籍をほとんど電子化したいま、NDL-OPAC近代デジタルライブラリーを接続しない理由はないだろう。NDL-OPACで検索してみつけた書誌情報に近代デジタルライブラリーに収められた当該書籍へのリンクを設けるだけのことである。技術的な困難はまずないはずだ。これが実現すれば、明治期の書籍については、いきなり現物を利用するのではなく、一度近代デジタルライブラリーで内容を確認し、そのうえでなお必要があれば、現物の閲覧を求めるという形になる。国立国会図書館の業務を画期的に変えることになるはずだ。
また同時に本文の検索が可能となるように電子化を推進してほしい。目次までしか検索対象にならない現状では、近代デジタルライブラリーが本来発揮できる力を削いでしまっている。ある言葉の初出を調べるといった用途にも本文の全文検索は役立つことだろう。
画面の操作性については異論があるだろうが、アイコンに依存しすぎている印象を受ける。一般に視覚的なナビゲーションは有効なものだが、アイコンの意味を解説しなくてはいけないようでは、その役割を果たしていない。

電子化そのものには十分目途がついたいま、次の向かうべきは利用しやすい近代デジタルライブラリーへの進化ではないか。さらなる前進を期待したい。

近代デジタルライブラリー
http://kindai.ndl.go.jp/
国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/
・「明治期図書75%がネット公開 国立国会図書館 4日から大幅増に」(京都新聞2006-04-03
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006040300152&genre=M1&area=K20