2006-05-14(Sun): 都道府県立図書館のメールマガジン発行状況

新着・新発見リソースの欄で「鳥取県立図書館、「鳥取県立図書館メールマガジン」第100号を発行」と伝えたが、この機会に全国の都道府県立図書館のメールマガジン発行状況を調べてみた。
47都道府県すべてに都道府県立の図書館があり、ようやく全都道府県の図書館がサイトを持つようになっているが、そのうち9館がメールマガジンを発行している。詳しいデータは以下にまとめておくが、概要は以下の通り。

・名称
9誌とも図書館名+メールマガジン。直接的でわかりやすくはあるが、一工夫ほしいところではある。たとえば、図書館名+メールマガジンを副題として扱い、図書館名+メールマガジン「○○○○○」としてはどうだろうか。

・歴史
最古は静岡県図書館メールマガジン。2003-04-16創刊。最新は県立長野図書館メールマガジン。2006-02-15創刊。2003年の創刊が1誌、2004年の創刊が4誌、2005年の創刊が3誌、2006年の創刊が1誌となり、約半数は2004年に創刊され、以降毎年、創刊数は微減しながらも全体では増加傾向にある。2002年以前に創刊され、その後休廃刊となったメールマガジンはない模様。

・部数
部数を明記しているメールマガジンはなく、各誌がどの程度配信されているのかは不明。一律に比較できるものではないが、部数は公開してよい情報ではないか。

・発行頻度
9誌中6誌が月2回の発行、2誌が月刊、1誌が週刊。各誌とも発行頻度は基本的に守られている。

・発行回数
一部不明のメールマガジンがあるものの、発行回数では100号を突破した鳥取県立図書館メールマガジンが群を抜いている。

・発行システム
9誌中7誌が独自構築のシステムを利用し、2誌が「まぐまぐ」を利用している。独自構築の場合、システムの保守・運用のコストに加え、メールアドレスなど、配信登録者の個人情報に類するものの管理が必要となってくる。定評のある「まぐまぐ」を利用するほうが賢明ではないか。

・バックナンバー
全誌がバックナンバーを公開している。ただし、バックナンバーの公開が遅れ気味のメールマガジンも散見される。発行システムと同様、運用コストを考えると、バックナンバーの公開機能がある「まぐまぐ」を利用するほうが賢明ではないか。

・登録資格
9誌中8誌が無制限とし、1誌が実質的に県民に限定している。県民に限定しているのは秋田県立図書館メールマガジン。登録には秋田県立図書館の利用カードが必要であり、閉鎖的な印象を受ける。また、このシステムの場合、県立図書館の利用カードを持つ県民とメールマガジンの配信を登録している県民をひもづけるデータが存在することが推測されるが、必要性が乏しい情報を不用意に持っていることになり、情報セキュリティの観点からはリスクを冒しているように思える。

・内容
新着図書の紹介やイベントの案内、コラムが主流。岡山県立図書館メールマガジンの場合、「デジタル岡山大百科」の新着情報を掲載している。また同誌はメールマガジンの読者限定で新着図書情報を配信しているようだが、これは誰もが利用できるべき情報であり、好ましい方法とはいえない。

静岡県立中央図書館
http://www.tosyokan.pref.shizuoka.jp/
静岡県図書館メールマガジン
http://www.tosyokan.pref.shizuoka.jp/contents/service/mailmag.html
創刊:2003-04-16
発行頻度:月2回
発行回数:73回
発行システム:独自構築
バックナンバー:
登録資格:無制限

岩手県立図書館
http://www.library.pref.iwate.jp/
岩手県立図書館メールマガジン
http://www.library.pref.iwate.jp/system/mailmaga_toroku_kaijo.html
創刊:2004-01-30
発行頻度:月刊
発行回数:23回
発行システム:独自構築
バックナンバー:公開
登録資格:無制限

和歌山県立図書館
http://www.wakayama-lib.go.jp/library/
和歌山県立図書館メールマガジン
http://www.wakayama-lib.go.jp/library/01-top/01-05mlmg.html
創刊:2004-02-03
発行頻度:月2回
発行回数:53回
発行システム:独自構築
バックナンバー:公開
登録資格:無制限

鳥取県立図書館
http://www.library.pref.tottori.jp/
鳥取県立図書館メールマガジン
http://www.library.pref.tottori.jp/melmag/mmset.asp
創刊:2004-05-07
発行頻度:週刊
発行回数:102回
発行システム:独自構築
バックナンバー:公開
登録資格:無制限

秋田県立図書館
http://www.apl.pref.akita.jp/
秋田県立図書館メールマガジン
http://www.apl.pref.akita.jp/service/mailmag.html
創刊:2004-11-04
発行頻度:月2回
発行回数:不明
発行システム:独自構築
バックナンバー:公開
登録資格:実質的に県民に限定(図書館の利用カードが必要)

奈良県立図書情報館
http://www.library.pref.nara.jp/
奈良県立図書情報館メールマガジン
http://www.library.pref.nara.jp/netservice/mailmagazine.html
創刊:2005-07-04
発行頻度:月2回
発行回数:21号
発行システム:まぐまぐ
バックナンバー:公開
登録資格:無制限

岡山県立図書館
http://www.libnet.pref.okayama.jp/
岡山県立図書館メールマガジン
http://www.libnet.pref.okayama.jp/mailmaga/
創刊:2005-07-15
発行頻度:月刊
発行回数:10回
発行システム:独自構築
バックナンバー:公開
登録資格:無制限

大阪府立図書館
http://www.library.pref.osaka.jp/
中之島図書館メールマガジン
http://www.library.pref.osaka.jp/nakato/m_index.html
創刊:2005-09-13
発行頻度:月2回
発行回数:17回
発行システム:独自構築
バックナンバー:公開
登録資格:無制限

・県立長野図書館
http://www.library.pref.nagano.jp/
・県立長野図書館メールマガジン
http://www.library.pref.nagano.jp/mailmag.htm
創刊:2006-02-15
発行頻度:月2回
発行回数:6回
発行システム:まぐまぐ
バックナンバー:公開
登録資格:無制限


総評としては、現在ある9誌はメールマガジンとしてのキャラクター付けが不十分に思える。わざわざサイトにみにいかなくても手許に届くというメールマガジンの特性をまず生かすべきだろう。
その意味では、まず新着図書やイベント情報を含めた図書館の新着情報を配信してほしい。同時に、図書館サイトの新着情報も忘れずに盛り込んでほしい。
また、読み物に力を入れることはよいが、メールマガジン独自の記事にこだわる必要はないだろう。サイトにはメールマガジンに転用できる記事がたくさんある。レファレンスの最新事例や新規サービスの案内などをバランスよく配置すれば、記事に事欠くことはないのではないか。
要望を書き連ねたが、既存の9誌(9館)は残りの38館を思えば、むしろ讃えられるべき存在であることを最後に確認しておきたい。もちろんメールマガジンがないよりは、あったほうがいい。図書館に関する情報を利用する選択肢がそれだけ増えることになるからだ。メールマガジンに取り組むことがすべてではないが、残りの38館には、それぞれの特性に応じた情報の発信をより充実させてほしい。

・新着・新発見リソース「鳥取県立図書館、「鳥取県立図書館メールマガジン」第100号を発行」
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060430/1146408255