2006-06-01(Thu): 授業評価サイトは中傷でいっぱい?(2)

2006-05-25(Thu)の編集日誌「授業評価サイトは中傷でいっぱい?」に対して、私が批判した文章の筆者である山本淳子さん(新潟県立看護大学)ご本人と思われる方から、ブログにコメントをいただいた。取り急ぎ、数点について当方からもコメントしておいた。この話題については引き続き、編集日誌でとりあげていこうと思う。
さて、一つだけ論点を整理しておきたい。朝日新聞に掲載された山本さんの文章「授業評価サイト 中傷の氾濫 運営者に責任」(5月19日朝刊「私の視点」欄)に対する私の論点は二つにわかれているだろう。一つは、大学の授業評価アンケートや授業評価サイトの話題である。もう一つは批判の仕方や批評に対する姿勢の話題である。どちらも関心のある話題だが、両者を混同しないように気をつけながら話を進めていきたい。
なお、以下は今回お寄せいただいたコメントの筆者が山本さん本人であるという前提に基づいている。
まず後者について。繰り返しになるが、私は批判の対象とするサイト名(「みんなのキャンパス」)を伏せたことはやはりフェアではないと考える。山本さんにあらためてうかがいたい。山本さんはご自分の主張を第三者に伝えることを目的にこの文章を書いたはずだ。そのとき読者に自分の文章をどのように受け取ってほしかったのだろうか。読者に問題があると指摘した「みんなのキャンパス」をみることなく、自分の主張を受け入れてもらいたかったのだろうか。それとも「みんなのキャンパス」を実際にみたうえで、その妥当性や自分の主張の是非を判断してほしかったのだろうか。山本さんの真意はもちろん後者であったと信じる。だが、そうならば、サイト名を伏せる必要はなかった。いや、伏せてはいけなかった。
お寄せいただいたコメントによれば、

朝日の担当の方と相談したのですが、あれで行こうということになりました。「25万人の」だけでネットで特定できるのでいいのかな、と思ったのですが……(後略)

ということだが、朝日新聞の読者の何人が「25万人」という数字だけから、「みんなのキャンパス」にたどりつけるだろうか。「25万人という数字から、「みんなのキャンパス」を特定できるのは、基本的にすでに「みんなのキャンパス」を知っている人々ではないだろうか。
ともあれ、この話をこれ以上続けても生産的ではないだろう。だが、最後に強調しておきたい。自説を立てて何事かを批判する際、その対象を明示して第三者による検証を可能とすることは、学問の基本ではないだろうか。

なお、正確にいうと、記事では「授業評価数 24万5千件のキャンパスライフ支援サイト」と表記されている。この表記は問題のサイト上の表記に準じたものである。

(つづく)

2006-05-25(Thu)の編集日誌「授業評価サイトは中傷でいっぱい?」
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060526/1148575116
2006-05-29(Mon)の編集日誌「続・授業評価サイトは中傷でいっぱい?」
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060602/1149204122
2006-05-30(Tue)の編集日誌「大学による授業評価アンケートの公開事例」
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060602/1149204121