2006-10-02(Mon): ネット書店とリアル書店という二分法

メールマガジン勁草書房」57(2006-09-30)のコラム「営業部から」に次のような記述があった。

 ネット書店など新しい形の書店が生まれているなかで、多くのリアル書店はサイン会や講演会などさまざまなイベントを行い、書店という空間に付加価値をつけた店作りをして、ネット書店との差異化を図っている。
 しかしネットとリアル書店が対立関係にあるかというとそうでもない。ある書店で店長さんに聞いたのだが、講演会の告知をネットで配信したら、新聞で告知をした時よりも大きな反響があり、講演会への申し込みも多かったというお話だった。

便宜的にネット書店/リアル書店という二分法を使うことはあるとは思うが、ことさらに区別する必要はないと思う。要は本を売る書店業というビジネスがあり、そこにオンラインでの展開とオフラインでの展開があるということではないだろうか。つまり(リアルをオフラインと、ネットをオンラインと、それぞれ言い換えている)、

ではなく、

  • 書店
    • オンライン・オフライン両方で展開する書店
      • オンラインから始まり、オフラインにも展開する書店
      • オフラインから始まり、オンラインにも展開する書店
    • オンラインだけで展開する書店(オフライン展開は未定)
    • オフラインだけで展開する書店(オンライン展開は未定)

という構図ではないか、ということ。

展開といってもリアル店舗を設けたり、オンライン書店を設けたり、ということに直結する必要はない。依然として印刷した紙を綴じ込むという形式は、本という商品の大勢である。Amazonのようなオンライン書店はどのように本を顧客に届けるかというオフラインでの展開が求められるし、上に引用したようにオンラインでのイベント告知が有効なこともある。要は単なるビジネスとして、オンラインだろうが、オフラインだろうが、とりうる手段をどのように使うか、というだけの話ではないだろうか。

オンライン系の書店にも、オフライン系の書店にも、いずれかに肩入れする気はない。だが、オフラインでの展開が主となっている書店には、オンライン=ネット書店=Amazonと考えることなく、もっともっと賢くウェブを活用することに力を注いでほしいと思う。

勁草書房
http://www.keisoshobo.co.jp/