海の自然史研究所、Local Fauna Databaseを公開

海の自然史研究所がLocal Fauna Databaseを公開している(公開日不明)。サイトへのアクセス数を示すカウンターは2001年10月8日に始まっていることから、すでに5年に及ぶ運用実績があるようだ。実際に制作しているのは、伊勢戸徹さんと岩瀬晃啓さん。
このデータベースは琉球列島の海域に生息する無脊椎動物の標本をまとめたものだが、他の標本データベースとは一線を画すところがあるようだ。サイトのトップページに概要のみ述べられているが、「既に名前を持つ生物を紹介する図鑑的データベースではなく、分類学的研究に利用されることを前提にした未研究標本のカタログ」とされている。つまり、明確に分類し、その名称からデータを引き当てるデータベースではなく、分類上の位置づけが明らかではない生物を掲載し、主に分類学者がその生物学上の分類を含めた研究を行うことを目的としている、といえるだろうか。分類学におけるこのデータベースの評価は専門家の方々に委ねざるを得ないが、試みとしては大きな意義を持っているように思われる。研究という目的に対して、きわめて実用性の高いデータベースではないだろうか。
また、用いられているデータベースシステムをGPL準拠とし、同様のデータベースの公開を望む者に対して、システムを積極的に開放しようとしている。この点でも類例の少ないデータベースだろう。このデータベースの存在にいままで気づかなかった不明を恥じ入るとともに、標本データベースをはじめ、生物系のデータベースを作成・公開されている方々の評価をぜひうかがってみたい。

・Local Fauna Database
http://mar-inv.interface-design.jp/
・海の自然史研究所
http://www.marinelearning.org/
・BDDB.org(岩瀬晃啓さん)
http://www.bddb.org/