2007-01-15(Mon): 英知大学の改名構想から

・「もう「エッチ大」とは呼ばせない 英知大学が校名変更へ」(朝日新聞2007-01-13
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200701120406.html

という報道があった。兵庫県尼崎市にある英知大学が校名を大阪聖トマス大学に改めるという。

英知大学
http://www.sapientia.ac.jp/

記事によれば理由は、

「エッチ大」と学生がからかわれることや、インターネットで検索するとアダルト系雑誌の発売元の英知出版がヒットすることが学内で問題になっていた。担当者は「高校生が志望校をネットで検索する今、イメージは重要で、対応が必要と判断した」と話す。

という。話の一部を記者が拡大解釈して記事にしている可能性も否定できないが、もしこれが本当の理由であるとしたら情けない。

おそらく改名の真意は同じ記事中でふれられている

聖トマスの名を冠することで、カトリック系大学の世界連合組織「聖トマス・アクィナス大学国際協議会」に加盟することが可能になる。

にあるのだろう。

・The International Council of Universities of St Thomas(IC-USTA)
http://www.icusta.org/

だが、前者の理由がこれほど大きく報道されてしまうと、英知大学の目論見が崩れてしまいそうだ。早めに大学のサイトで改名理由について正式にコメントしてほうがよいと思う。しかし、英知大学の現在の校歌では「英知の園に集いたり」(1番)、「英知の庭に競いたり」(2番)、「英知ぞ我らが母校なる」(3番)、「英知ぞこの世の光なれ」(4番)と歌われているのだが、この校歌も改めることになるのだろうか。これはまた一大事業だろう。

英知大学
http://www.sapientia.ac.jp/eichi/etc/kouka2.html

ところで、ドメインに使われている英知大学の英語名がSapientia Universityとなっているのが気になって調べてみた。「Sapientia」は聖書の

  1. 箴言(Proverbs)
  2. コヘレトの言葉/伝道の書(Ecclesiastes)
  3. 雅歌(Canticle of Canticles)
  4. 知恵の書(Wisdom)
  5. 集会の書/シラ書(Ecclesiasticus)

を指すらしい。そして、日本語訳の「英知」は旧約聖書ヨブ記第12章13節の「神と共に、英知と力がある」からとられたものだという。

英知大学 - 英知を知る
http://www.sapientia.ac.jp/eichi/university/knows/

最近の聖書ではヨブ記第12章13節は

神と共に知恵と力はあり/神と共に思慮分別もある。(新共同訳)
知恵と力は神と共にあり、/深慮と悟りも彼のものである。(口語訳)
知恵と力とは神とともにあり、思慮と英知も神のものだ。(新改訳)

と訳されているので、「英知と力」という表現は文語訳の聖書から来ているのかもしれない(未確認)。ちなみに、英語では

With him is wisdom and strength, he hath counsel and understanding. (King James Version)
To God belong wisdom and power; counsel and understanding are his. (New International Version)

となっている。と、ここまで調べたところで力尽きた。

・『聖書でわかる英語表現』(石黒・マリーローズ著、岩波新書、2004年、777円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4004309069/arg-22/

のような本でも読んだほうがいいだろうか。

と、まあ脱線したままだが、これだけ盛り上がれる校名を変えてしまうのは惜しいような気がする。