2007-03-05(Mon): Looking for 遠山敦子さん
すでに終了しているが、名古屋大学附属図書館研究開発室で次のような催しがあったようだ。
2007-01-15(Mon):
名古屋大学附属図書館研究開発室第24回オープンレクチャー「学術情報システムの誕生と女性リーダーの軌跡」
(於・愛知県/名古屋大学附属図書館)
http://libst.nul.nagoya-u.ac.jp/activity/openlecture/24.html
この催しの概要に、
この学術情報システム誕生における最大の功労者は故猪瀬初代所長であるが、その最初の構想を考え出した、いわばシステムの生みの親たる女性リーダー(遠山敦子女史)については、これまであまり語られてこなかったように思われる。
今回の報告は、この若き日の女性リーダーとしての遠山女史に、かつて直属の部下として仕えた経験をもつ講師が、そのシステム誕生の前後のエピソードを語ることを通じて、この歴史的大改革に取り組んで成功させた女史のリーダーシップの“ひみつ”に迫ろうとするひとつの試みである。
とあるが、名前が挙がっている遠山敦子さんとは、元文部官僚で小泉内閣で文部科学大臣を、現在は新国立劇場運営財団理事長を務めている遠山敦子さんのことだろうか?
・新国立劇場 - 理事長のプロフィール
http://www.nntt.jac.go.jp/about/foundation/profile/president.html
気になり調べてみる。
・国立大学図書館協議会第50回記念総会 議事要録【PDF】
http://wwwsoc.nii.ac.jp/janul/j/organization/minutes/general/h15sokairoku.pdf
に、当時の遠山文相の祝辞を文部科学省研究振興局長だった石川明さんが代読している箇所がある。
かつて文部省情報図書館課長に在任中、この国立大学図書館協議会の総会に出席し、所管事項の説明をいたしたことがあります。それは第25回の総会にあたっておりまして、本日から振り返りますと、本協議会50年の歴史のちょうど折り返し点ということになり、大変不思議なめぐりあわせという気がいたします。
その当時は、学術審議会において、今後における学術情報システムの在り方について、諮問(昭和53年11月)と答申(昭和55年1月)が行われた時期でした。この答申は、やがて学術情報センターの設置(昭和 61 年4月)や国立大学図書館へのコンピュータシステムの導入・普及の実現に結実し、今日の大学図書館の運営、サービスを支える基盤を形成する上で一つの大きな節目であったと思います。
また、「名大トピックス」165(2007-02-16)には、そのものずばり、このオープンレクチャーの報告記事「第24回オープンレクチャーを開催」があった。
・「名大トピックス」165(2007-02-16)【PDF】
http://www.nagoya-u.ac.jp/topics/pdf/no165.pdf
また、雨森参与の当時直属の上司であった女性課長(遠山敦子元文部科学大臣)の、学術情報システム及び教育・文化行政に係る挑戦的な改革と、その原動力となった人間力を例に、今後のリーダーとはどのようにあるべきか、について次代を担う若手図書館員に対して、期待をこめて語りました。
間違いないようだ。
さらに遠山さんが学術情報システムについて書いているものがないか、CiNii(NII論文情報ナビゲータ)で調べてみた。
・CiNii(NII論文情報ナビゲータ)
http://ci.nii.ac.jp/
もちろん、ある。
・「学術情報システムの構成」(「学術月報」32-5、1979年8月)
http://ci.nii.ac.jp/naid/40000446821/
・「《座談会》大学図書館と研究情報活動」(「筑波フォーラム」10、1980年3月)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000388880/
・「学術情報システム構想の草創の頃」(「学術情報センターニュース」16、1991年6月)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000493024/
このうち、「学術月報」は一切電子化されておらず、「筑波フォーラム」は一部しか電子化されていない。だが、「学術情報センターニュース」はすべて電子化され公開されている。
・国立情報学研究所 - 学術情報センターニュース
http://www.nii.ac.jp/results/pr_data/leaflet_cnews-j.shtml
当然、遠山さんの「学術情報システム構想の草創の頃」が掲載された
・「学術情報センターニュース」16【PDF】
http://www.nii.ac.jp/CNEWS/PDF/No16.pdf
も読める。しかし、残念ながらCiNiiからは直接たどり着けない。CiNiiは着実によくなっているものの、書誌と本文の結びつけに依然として課題があることを感じる。
閑話休題。遠山さんである。このような仕事をされた方とは、まったく知らなかった。不覚。
しかし、こういう歴史は私を含め、知らない世代はとことん知らないのではないだろうか。どなたかに歴史をまとめていただけないものだろうか。分野がやや異なるが、喜多千草さんの『インターネットの思想史』や『起源のインターネット』のような形で、日本の学術情報システムの誕生史をどなたかに書いてほしい。
・『インターネットの思想史』(喜多千草著、青土社、2003年、2310円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4791760212/arg-22/
・『起源のインターネット』(喜多千草著、青土社、2005年、2520円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/479176191X/arg-22/
話は変わってしまうが、喜多千草さんの両著はAmazonの「なか見!検索」の対象になっている。やはり学術書は電子化されていて検索できると便利なことを実感する。