2007-03-08(Thu): 所蔵図書館マップに感動

昨日の東海地区大学図書館協議会研修で、林賢紀さんがつい先日公開されたばかりの「所蔵図書館マップ」を紹介した。実際に自分でも使ってみて、大きな感動を味わう。これはすごい。待ち望んでいたものだ。

・所蔵図書館マップ
http://myrmecoleon.sytes.net/map/

ISBNを入力すると、全国の主に大学図書館のどこにその本が所蔵されているかがわかるというもの。作者はmyrmecoleonさん。ご本人のブログに記事がある。

・「所蔵図書館マップ(仮) 欲しい本がどこの図書館にあるかが一目でわかる方法」(Myrmecoleon in Paradoxical Library. はてな分館、2007-03-05)
http://d.hatena.ne.jp/myrmecoleon/20070305/1173104402

たとえば、小著『これからホームページをつくる研究者のために−ウェブから学術情報を発信する実践ガイド』(築地書館、2006年)であれば、こんな風にパッと地図が出る。

・所蔵図書館マップ - 『これからホームページをつくる研究者のために−ウェブから学術情報を発信する実践ガイド』
http://myrmecoleon.sytes.net/map/?isbn=480671335X

これをみると、小著は万遍なく全国の大学図書館に所蔵されているものの、四国地方では苦戦していることがよくわかる。いずれにせよ感動的だ。

つい先日、

・「「Web2.0」時代に対応する学術情報発信へ −真のユーザー参加拡大のためのデータ開放の提案」(『情報管理』49-11、科学技術振興機構2007-02-01
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/49/11/49_632/_article/-char/ja/

の中で国立情報学研究所国立国会図書館科学技術振興機構にの所有するデータの開放を訴えたが、現実はすでに動き出している。つまりは、こういうことがより柔軟に可能になるということであり、上記3機関にはデータの開放を真剣に検討してほしい。

myrmecoleonさん自身が、

大学図書館だけでなく、公共図書館も含めた日本中の図書館が地図上で一発で見られたら便利だと思うんですけどねー。このへんはなんとか実装できないかとか、ちょっと考えてみたいかも。

と述べているように、同じことが全国の公共図書館を対象にできるとうれしい。さらに全国のリアル書店も対象になるとさらによい。後者については書籍取次の大手であるトーハンと日販が努力すれば、それなりの形にはなるはずだが、前者は難しいだろう。現在のところ都道府県レベルでは公共図書館の蔵書の横断検索の開発・公開が進んでいるが、大学図書館と異なり、公共図書館には統一的な総合目録がない。

大学図書館の所蔵館マップは基本的には著者や出版社の立場から有用だろうが、その本を入手したい利用者にとっては実用的ではない。だが、公共図書館であれば、利用者の利便性は計り知れないほど大きい。同時にサービスを提供する公共図書館にとっても役立つことだろう。さて、どうしたものか。

追記

作者のmyrmecoleonさんは大学図書館の方。私は講演などの際にことあるごとに図書館の今後の施策として、

  1. 内部の若手人材の登用
  2. 外部の司書以外の人材登用

が重要であると述べている。myrmecoleonさんのような人材を内部に有する大学図書館は実に幸せだ。ぜひmyrmecoleonさんのような方に権限を与え、責任は上長が分かち合いつつ、思い切ったことをしていってほしい。