2007-03-18(Sun): 国立国会図書館の次期館長は長尾真さん

すでに新聞各紙で報道されているが、2007年度から国立国会図書館の館長に長尾真(長尾眞)さんが就任するというビッグニュース。実はご本人に昨日お目にかかったばかりだ。
報道がそうであるように、長尾さんというと京都大学前総長という経歴が注目されてしまう(現在は情報通信研究機構NICT)理事長)。しかし、国立国会図書館と長尾さんという関係でみると、情報学の研究者であり、現在は日本図書館協会の会長も務める長尾さんが国立国会図書館の館長になるというところに、この話のポイントがあるのではないか。
早くから電子図書館の可能性に注目してきた長尾さんだけに、国立国会図書館の電子化事業には朗報と考えてよさそうだ。ぜひ関西館を中心に担当者たちが築き上げつつある優れた事業をより実りあるものへと導いてほしい。
なお、新聞各紙の論調では、館長に衆参両院の事務総長経験者をあてるという従来の人事に否定的だが、歴代館長を一律に論じることは避けたい。特に今年度末で退任する黒沢隆雄さんは就任後、積極的に国立国会図書館の電子化を進めている。また、国立国会図書館が人材の中途採用に積極的になったのも黒沢さんの存在があればこそだろう。この点は退任する黒沢さんの名誉のために記しておきたい。
なお、各紙記事では「京都大学前学長」となっているところが多いが、正しくは朝日新聞が使っている「京都大学前総長」である。一部の国立大学では「学長」ではなく「総長」という呼称を用いている。
さらに薀蓄を一つつけたしたい。Web2.0のキーワードの一つに「ロングテール」(Long Tail)という言葉があるが、中国語では「長尾理論」と書くそうだ。先日、ある研究者の方に中国で開催された学会でみかけたという「長尾理論」と書かれた看板の写真をみせてもらった。長尾さんの専門分野をご存知の方は一瞬笑いがこぼれてしまうだろうな。

・「国会図書館長に元京大総長起用へ 不祥事で調整ご破算」(朝日新聞2007-03-15
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200703140472.html
・「国会図書館長に長尾・京大前学長」(日本経済新聞2007-03-15
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070316AT3S1501K15032007.html
・「次期国会図書館長に長尾・元京大学長、民間から初起用」(読売新聞、2007-03-15
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070315i411.htm
・「国会図書館長に元京大学長・長尾氏=慣例破り、民間から登用−衆院」(時事通信2007-03-15
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007031500945
国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/