東京大学史料編纂所、サイトをリニューアル

東京大学史料編纂所がサイトをリニューアルしている(公開日不明)。デザインが洗練されただけでなく、同編纂所で編纂・出版している史料の紹介など、東京大学史料編纂所の役割を伝えるコンテンツが増えていることは喜ばしい。だがその反面、データベースのページがその方針も含めて見直されなかったことは残念だ。この問題については以前、鎌倉遺文フルテキストデータベースの公開を紹介した際に次のように述べたことがある。

なお、利用にあたってはまず「東京大学史料編纂所データベース」のページに入り、利用するデータベースとして「鎌倉遺文フルテキストDB」を選択しなくてはいけない。せっかく優れたデータベースが多数あるにも関わらず、この構造のためデータベースに直接リンクして紹介できないことが多い。東京大学史料編纂所にはこの構造の見直しをお願いしたい。いち早くデータベースの開発に取り組んできた東京大学史料編纂所だが、ウェブでの発信における利便性や操作性の改善については無頓着すぎると思う。

・「東京大学史料編纂所、鎌倉遺文フルテキストデータベースを公開」(新着・新発見リソース、2006-10-17
http://d.hatena.ne.jp/arg/20061017/1161018857

残念ながら、今回のリニューアルではこの問題は改善されなかった。そのためのほころびだろうか、リニューアルされたサイトには所々に使い勝手の悪さを感じる。たとえば、新たに追加された編纂史料のページだが、「日本荘園絵図聚影」のページをみると、以下のような説明とともに、【関連データベース】として「史料編纂所所蔵荘園絵図模本」が紹介されている。

奈良時代〜中世以前の300点弱にのぼる荘園絵図は、自然環境やそこに住む人々の生活を伝える貴重な画像史料です。現地調査等も行い、鮮明な影印でこれを提供するようにしています。全7冊。
2006年度には釈文編一(古代)を刊行しました。

【関連データベース】史料編纂所所蔵荘園絵図模本

http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/publication/shoenezu-j.html

関連データベースの紹介は行き届いた配慮だが、肝心のデータベースである「史料編纂所所蔵荘園絵図摸本データベース」にリンクしていない。問題のサイト構造のためである。他方、大日本史料のページでは、

第8編 応仁元年〜永正5年(1392〜1466)既刊40冊(1467〜1490)
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/personal/suegara/hensan.htm
(中略)
第10編 永禄11年〜天正10年(1508〜1582)既刊25冊(1568〜1574)
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/personal/kaneko/chusei/10hen.html

大日本史
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/publication/dainihonshiryo-shiryosoran-j.html

と、所員の個人サイトで公開されている関連ページに直接リンクしている。なんともちぐはぐだ。

現所長の横山伊徳さんは、史料の電子化とインターネットの公開に早くから取り組んできた歴史学者の一人である。所員にも同様の経験や見識を持った方々が少なくない。教員59名、職員21名、合計80名ものスタッフを抱える東京大学史料編纂所の地力を見せ、必ず改善してほしい。

東京大学史料編纂所
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/index-j.html
東京大学史料編纂所の過去のサイト
http://web.archive.org/web/*/http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/index-j.html
東京大学史料編纂所データベース SHIPS for インターネット検索ページ
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/
・Yokoyama's HomePage(横山伊徳さん)
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/personal/yokoyama/