2007-06-03(Sun): 堀敏一さんの逝去

新聞での扱いは小さいものだったが、中国古代史の研究者・堀敏一さんが亡くなった。

・「明治大名誉教授の堀敏一さん死去」(朝日新聞、2007-05-30)
http://www.asahi.com/obituaries/update/0530/TKY200705300376.html
・「訃報:堀敏一さん82歳=明治大名誉教授、中国古代史専攻」(毎日新聞、2007-05-30)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/fu/news/20070531k0000m060059000c.html
・「おくやみ 堀敏一氏=明治大学名誉教授」(読売新聞、2007-05-30)
http://www.yomiuri.co.jp/national/obit/news/20070530zz22.htm
・「堀敏一氏死去(明治大名誉教授・中国古代史)」(時事通信、2007-05-30)
http://www.jiji.com/jc/c?g=obt_30&k=2007053000953

毎回思うことだが、新聞の訃報での研究者の扱いは小さいものだ。上記報道の中では、読売新聞だけが『均田制の研究』や『東アジア世界の形成』といった故人の著作にふれている。また毎日新聞は故人が唐代史研究会の設立者の一人であることにふれている。

他方、何人かの研究者の方々が故人への思いをブログでつづっている。

・「堀敏一先生のご逝去」(關尾史郎のブログ、2007-05-31
http://sekio516.exblog.jp/5780160
・「訃報 堀敏一先生」(Marginal Notes & Marginalia、2007-05-31
http://iwamoto.asablo.jp/blog/2007/05/31/1545071

直接お目にかかることはなかったが、堀敏一さんの著作のうち、

・『中国と古代東アジア世界−中華的世界と諸民族』(岩波書店、1993年、2854円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/400001367X/arg-22/
中国と古代東アジア世界―中華的世界と諸民族

はいったい何度読み返したことだろう。学生時代、千年亡くなられた西嶋定生さんの東アジア世界論の魅力にとらわれていた私にとって、『中国と古代東アジア世界−中華的世界と諸民族』に出会ったときの衝撃は大きかった。西嶋定生さんの

・『中国古代国家と東アジア世界』(東京大学出版会、1983年、16800円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4130210440/arg-22/
中国古代国家と東アジア世界
・『日本歴史の国際環境』(東京大学出版会、1985年、1890円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4130020358/arg-22/
日本歴史の国際環境 (UP選書 (235))

とあわせたこの3冊は大学4年になる春まで、私にとってのバイブルだった。その後、卒業論文のテーマを変更したため、西嶋定生さんや堀敏一さんの研究に接することはなくなってしまったが、これらの著作はいまでも手許にある。歴史学がいかにエキサイティングな学問かを学んだ本であるだけに、とても処分できないのだ。学恩というのはおこがましが、すばらしい研究を残してくださった堀敏一さんに感謝を込めつつご冥福をお祈りしたい。