2007-06-11(Mon): 読了『ウェブ社会をどう生きるか』(西垣通著、岩波新書、2007年、735円)

・『ウェブ社会をどう生きるか』(西垣通著、岩波新書、2007年、735円)
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ウェブ社会をどう生きるか (岩波新書)

を読了。こういう議論も必要なのだろう、とは思う。だが、どうもしっくりと来ないのはなぜだろう。機会があればしっかりと考えたいが、いまは本書への疑問の部分だけを抜き出しておきたい。本書は安易な反『ウェブ進化論』でも、反「Web2.0」論ではない。著者である西垣さんにも様々なためらいがあるように思う。だが、それにしても批判対象としているものの実像がわかりにくい。西垣さんの意図はあくまでウェブ礼賛の風潮に抗することだと思うのだが、西垣さん自身の表現を借りれば「ウェブ2・0が民主主義や平等主義を促進し、あたかも人類の巨大な知的革命を起こすという極論」に矛先が向いているように感じられる。おそらく、この点が自分にはしっくりとこないのだろう。だが、そう結論づけてしまえる本ではないようにも思える。もう少し読み深めたいと思うのも事実だ。ひょっとすると、一人で読み進めるよりも、読書会形式で輪読したほうがしっかりと読めるのかもしれない。
なお、一点だけ気になったことがある。本書にはGoogleのスポンサーサイトを説明する箇所があるのだが(56〜58頁)、そこで使われている「グーグル検索結果画面(例)」の画面キャプチャーはとり方が適切ではない。検索結果の上と右に表示されるスポンサーサイトだけが収められ、ページ検索結果がはじき出されている。また、故意にブラウザの画面を狭め、大部分のユーザーが目にすることのない画面をつくっているかのように思える。意図的なものとは思いたくないが、論旨を考えると、印象操作の感が否めない。本書の価値を著しく損なうものであり残念だ。

・デジタル・ナルシス(西垣通研究室)
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