2007-06-13(Wed): 読了『ネットで人生、変わりましたか』(岡田有花著、ソフトバンククリエイティブ、2007年、1680円)

・『ネットで人生、変わりましたか』(岡田有花著、ソフトバンククリエイティブ、2007年、1680円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4797337370/arg-22/

ネットで人生、変わりましたか?

を一気に読む。

まるでタイムマシンのような一冊だ。ページを開くと2003年から2007年までの5年間を自由自在に行き来できる。そのときどきに著者の岡田有花さんが出会った人々に出会うことができる。ITオンチを自認する新人記者だった岡田有花さんや、取材先からの信頼を得て評価されていく中堅記者の岡田有花さんに出会うことができる。そして、岡田さんの5年間の冒険を通して、何年か前の自分に出会うことができる。そんなタイムマシンのような一冊が、この『ネットで人生、変わりましたか』だ。

著者の岡田有花さんは、ITニュースサイト「ITmedia News」の記者。ウェブの世界では、おそらく突出して有名な記者である。その岡田さんが5年間に渡って書いてきた膨大な記事のごく一部を再録したのが、本書である。

再録された記事の一篇ごとに岡田さんによるコメントが付されており、当時の岡田さんがどのような思いで取材にあたったのか、そしていまの岡田さんが当時と今とをどのようにとらえているのかが、よく伝わってくる。そしてなによりも岡田さんの目線は常にインターネットを使う人やインターネットで何かをつくる人−岡田さんの言葉を借りれば「ネットの周りにいる人」や「インターネットの『中の人』」−に向けられてきたことがよくわかる(「まえがき」)。インターネットをむやみに礼賛するのでもなく、逆にやたらと否定するのでもない。「ネットで人生、変わりましたか」という書名に象徴されるように、人とインターネットの関わりを追いかけてきた岡田さんのしなやかな姿勢に感心させられるばかりだ。

「まえがき」と「あとがき」で岡田さんが初の著書に込めた思いをそっと語っている。

読んでくださるあなたの人生が、ネットを通じて、本書を通じて、少しでも豊かになりますように(まえがき)。

インターネットが、あなたの人生を少し楽しくできますように。あなたの今日が、昨日よりもちょっといい日になりますように(あとがき)。

このメッセージはきっと届く。なによりも届いてほしい。そのためにも一人でも多くの人が本書を手にしてほしい。ただただ、そう切に願ってやまない。本書の刊行を通して、岡田さんの人生がもっともっと豊かになりますように。もっともっと楽しくなりますように。そして、岡田さんの今日が、昨日よりももっともっといい日になりますように。

・「【お知らせ】IT戦士の記事が書籍に」(ITmedia News、2007-05-30)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0705/30/news030.html