2007-09-08(Sat): 大学の情報教育はどこまで責任を負えるのか
埼玉大学が、
・「インターネットブログ等への書き込み注意について」(埼玉大学、2007-08-23)
http://www.saitama-u.ac.jp/student/20070823.html
という文書を発表したことを受けて、様々な反響が出ている。
・「埼玉大学 ブログ等への書き込みを注意喚起」(大学職員.net -Blog/News-、2007-08-28)
http://blog.university-staff.net/archives/2007/0828/0008post_1054.html
・「匿名書込みに注意」(これでも大学職員のブログ -情報センター勤務中-、2007-08-31)
http://d.hatena.ne.jp/daigaku-syokuin/20070831/p1
・「ますます大丈夫かいな?」(図書館員もどきのひとり言、2007-09-08)
http://liblog.seesaa.net/article/54380515.html
埼玉大学の「インターネットブログ等への書き込み注意について」の内容は以下の通り。
最近、インターネットブログや掲示板等において、大学生が虚偽を含む不正行為等の体験談を不用意に書き込んだことで、当該大学に厳しい批判の声が寄せられるケースが目立っています。
インターネットは、不特定多数が閲覧可能であり、書き込み内容によっては予想外の誤解を与え、さらには違法行為と判断されて、他人や団体に多大な被害を及ぼす可能性があります。このため、学生の皆さんには軽率な書き込みをしないよう十分に注意を払ってください。
学生の皆さんには、一人ひとりが社会のルール、インターネット上のルールを守り、埼玉大学の学生としての社会的責任を自覚し、一層モラルを高めていくことを希望します。・「インターネットブログ等への書き込み注意について」(埼玉大学、2007-08-23)
http://www.saitama-u.ac.jp/student/20070823.html
この文書が発表されるに至るには、様々な事情があるようだが、ここで気になるのは大学が行う情報教育はどこまでの責任を負えるのか、ということだ。埼玉大学は「特徴ある教育」の一環として、
・基礎教育プログラム/情報リテラシ教育プログラム
http://www.saitama-u.ac.jp/education/feature/basic.html
を掲げ、埼玉大学情報教育センターが主導する情報リテラシ教育プログラムでは、
情報リテラシを育成する全学教育、および各学部で実施されている情報に関連する専門教育を下支えする基礎教育を実施します。埼玉大学での勉学だけでなく、高度に発展を続ける情報社会を生きていくために不可欠な知識や技能を教育します。
情報リテラシの育成には、関連知識と機器の操作技能とを習得することと共に、その知識と技能とを自らの社会生活の中で活かすことができる実践力が欠かせません。情報社会の利便性の陰に潜む危険性に目をつぶるのではなく、それらの存在を認識して正しく対処できる力をつけることこそが、情報リテラシ教育のねらいです。・基礎教育プログラム/情報リテラシ教育プログラム
http://www.saitama-u.ac.jp/education/feature/basic.html
としている。今回の文書で注意を喚起している内容はまさに「知識と技能とを自らの社会生活の中で活かすことができる実践力」や「情報社会の利便性の陰に潜む危険性に目をつぶるのではなく、それらの存在を認識して正しく対処できる力」に関わることだろう。肝心の埼玉大学情報教育センターのサイトが公開されていないので、情報リテラシ教育プログラムの実際の内容がわからないのは非常に残念。最近の学生であれば、インターネットは入学以前から利用していることだろう。ブログやSNSに様々な書き込みも残していることだろう。そして、いまさら大学の情報リテラシ教育に学ぶことはなにもないと思う学生も少なからずいるだろう。また、教員・職員よりもインターネットに関する知識と経験が豊富だと自負している学生もいることだろう。そういった学生たちに対して大学の情報教育は何ができるのだろうか。そして、学生の行為にどこまで責任を持つべきなのだろうか。
私も会員の一人だが、
・コンピュータ利用教育協議会(CICE)
http://www.ciec.or.jp/
のような組織では、こういう問題に正面から取り組んでいかなければならないのだろう。