2007-10-18(Thu): 国際基督教大学(ICU)の制度改革に思う

国際基督教大学ICU、東京都三鷹市)が来年度から、新入生全員を特定の学科などに所属させず、2年次の終わりに所属を決める新制度を導入する。
(中略)
新制度では学科を廃止して文学、経済学、法学、物理学、心理学、言語学など31の専修分野に再編する。入学時には所属を決めず、様々な分野の基礎科目を2年間学んだ後、自分に合った専修分野を決める。分野ごとの定員はなく、学生は希望通りの分野に進むことができる。

・「文系・理系、選択は入学後 ICU、来年度から新制度」(朝日新聞、2007-10-15)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200710130210.html

母校につきコメント。気がかりなことが2点ある。一つは卒業生への影響。在学中からだがICUでは人文科学科、社会科学科、理学科、語学科、教育学科、国際関係学科を略してHum(ヒューマニ)、SS(エスエス)、NS(エヌエス)、Lang(ランゲ)、IS(アイエス)と呼ぶ文化がある。面識のない卒業生同士でも、卒業年度を表すID番号の上二桁と所属学科をお互いに尋ねあうことから会話が始まるのはよくあることだ。学科制を廃止するということは、こういった同窓生ネットワークを育む土壌を失うことにはならないだろうか。2008年度に入学する、ICU流にいえばID12の学生はその前の世代の卒業生をつながっていくきっかけの一つを欠いてしまうように思うのだが、大きな改革の前には小さなことなのだろうか。

もう一つ気がかりなのは、「分野ごとの定員はなく、学生は希望通りの分野に進むことができる」というところだ。これだけ読むと良いことのように思えるが、教員一人あたりが受け持つ学生数、教員・学生の比率はどのように調整するのだろうか。特に卒業研究の扱いが気になる。まったく調整をしないのであれば、志望者が多い専攻では、ICUの売りとする少人数指導が機能しなくなるのではないか。

国際基督教大学ICU
http://www.icu.ac.jp/
・2008年4月教学改革を実施します
http://subsite.icu.ac.jp/oar/