2007-11-04(Sun): 大学図書館の学外公開状況

ほとんどの大学の図書館は、一般の人が行こうとすると紹介状がいるなどと面倒なことをいうので使えない。そのため、専門的な勉強をしようとすると、一般人が使える図書館として国会図書館しかない場合が少なくない。

・「著作権を楯にコピーもままならぬ国会図書館なんて!」(JanJan、2007-11-02)
http://www.news.janjan.jp/culture/0711/0711010945/1.php

そんなことはないだろう、と思って読んだ記事だが、すでに反論が出ている。

・「国立大学の図書館なら…」(かたつむりは電子図書館の夢をみるか、2007-11-03)
http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20071103/1194111610

特にmyrmecoleonさんが「平成17年度学術情報基盤実態調査結果報告」に基づいて、

国立大では87校中83校、大学全体では701校中426校が研究者でも学生でもない身分の利用の実績がある計算。

とコメントしていることで。JanJanの市民記者である平井進さんの主張は破られている。

さて、公立大学の附属図書館の学外公開状況については、この夏に調べたデータがあるので紹介しておこう。公立大学は76校あり、附属図書館といえるものが89施設ある。この89施設のうち、83施設には学外公開に関するポリシーがサイトに掲載されており、うち81施設で学外公開を実施している。この81施設のうち62施設では貸出まで行っている。この数字は各大学の附属図書館のサイトで調べたものだ。なお、詳細は平成19年度公立大学協会図書館協議会研修会で発表している。

・「平成19年度公立大学協会図書館協議会研修会で講演」(編集日誌、2007-08-03)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070803/1186153130

ともあれ、この数字からも「ほとんどの大学の図書館は、一般の人が行こうとすると紹介状がいるなどと面倒なことをいうので使えない」ということはないとわかるだろう。

しかし、平井進さんの記事自体は思い込みや決めつけに基づくものとして一笑に付したり、一刀両断できるが、「ほとんどの大学の図書館は、一般の人が行こうとすると紹介状がいるなどと面倒なことをいうので使えない」と受けとめられてしまう要因が大学図書館側にないのか、気になるところだ。たとえば、各図書館のサイトで学外者の利用方法はわかりやすく記載されているだろうか。また、その大学図書館が所在する地域の公共図書館でも、学外公開に関するポリシーが伝えられているだろうか。平成19年度公立大学協会図書館協議会研修会では、このような点について問題提起したのだが、誤解を生まないための努力を大学図書館側にも求めたい。