2007-12-11(Tue): 個人が伝える研究の過程

最近、あらためて個人が研究の過程を伝えることの意義を説いている。

・「愛媛大学広報シンポジウムで講演とディスカッション」(編集日誌、2007-12-06)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20071210/1197214983

では、具体的な事例は?と聞かれることも多いので、最近みかけたものをいくつか挙げておこう。

たとえば、山中優さん。

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・山中優の教育・研究日記
http://masaruyamanaka.cocolog-nifty.com/kenkyu_diary/
・山中優のウェッブサイト
http://homepage2.nifty.com/masaruyamanaka/

ブログを読み続けてくると、1年前に『ハイエク後の社会主義』という新刊書に注目し、今夏になって本格的に研究対象としていることがわかる。その後、3ヶ月『ハイエク後の社会主義』を読み込んだ結果、「“ハイエク後の社会主義”の研究を断念」という結果になっている。

・「もう一つの必読書:『ハイエク後の社会主義』」(2006-11-30
http://masaruyamanaka.cocolog-nifty.com/kenkyu_diary/2006/11/post_0570.html
・「『ハイエク後の社会主義』を読む」(2007-08-15
http://masaruyamanaka.cocolog-nifty.com/kenkyu_diary/2007/08/post_35d8.html
・「『ハイエク後の社会主義』を読む(2)」(2007-08-21)
http://masaruyamanaka.cocolog-nifty.com/kenkyu_diary/2007/08/2_2ac9.html
・「『ハイエク後の社会主義』を読む(3)」(2007-10-05)
http://masaruyamanaka.cocolog-nifty.com/kenkyu_diary/2007/10/3_0b52.html
・「『ハイエク後の社会主義』を読む(4)」(2007-10-30)
http://masaruyamanaka.cocolog-nifty.com/kenkyu_diary/2007/10/4_3e25.html
・「ハイエク後の社会主義をめぐって:Th. Burczak と D. Prychitko」(2007-11-15)
http://masaruyamanaka.cocolog-nifty.com/kenkyu_diary/2007/11/th_burczak_d_pr_c845.html
・「“ハイエク後の社会主義”の研究を断念」(2007-11-30)
http://masaruyamanaka.cocolog-nifty.com/kenkyu_diary/2007/11/post_ba5f.html

あらためて研究に要する時間の長さと、そして必ずしも結果が約束されたものではないことを実感する。

たとえば、早川由紀夫さん。

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早川由紀夫の火山ブログ
http://kipuka.blog70.fc2.com/
早川由紀夫研究室
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/

気象庁が噴火警報を出すというニュースに対し、報道から実施までの3ヶ月に渡って問題点を指摘している。報道だけからはわからない課題、研究者が感じる問題点が伝わってくる。

・「噴火警報」(早川由紀夫の火山ブログ、2007-10-06)
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-85.html
・「噴火警報(2)」(早川由紀夫の火山ブログ、2007-10-14)
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-86.html
・「噴火警報(3)」(早川由紀夫の火山ブログ、2007-11-18)
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-89.html
・「噴火警報(4):浅間山の場合」(早川由紀夫の火山ブログ、2007-11-22
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-90.html
・「噴火警戒レベルを決める基準がわからない」(早川由紀夫の火山ブログ、2007-11-30)
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-93.html

たとえば、瀧端真理子さん。

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ミュージアムの小径(瀧端真理子さん)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/

11月9日に行われたシンポジウム「今、問われる 文化施設の使命とは−芦屋市立美術博物館から大阪府立現代美術センターまで」のレポートを実に15回に渡って連載している。

・「今、問われる 文化施設の使命とは」(ミュージアムの小径、2007-11-09)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071109/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(2)(ミュージアムの小径、2007-11-11)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071111/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(3)(ミュージアムの小径、2007-11-14)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071114/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(4)(ミュージアムの小径、2007-11-15)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071115/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(5)(ミュージアムの小径、2007-11-16)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071116/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(6)(ミュージアムの小径、2007-11-18)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071118/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(7)(ミュージアムの小径、2007-11-20)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071120/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(8)(ミュージアムの小径、2007-11-30)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071130/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(9)(ミュージアムの小径、2007-12-01)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071201/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(10)(ミュージアムの小径、2007-12-02)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071202/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(11)(ミュージアムの小径、2007-12-05)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071205/p1
・「今、 問われる 文化施設の使命とは」(12)(ミュージアムの小径、2007-12-06)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071206/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(13)(ミュージアムの小径、2007-12-07)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071207/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」(14)(ミュージアムの小径、2007-12-08)
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071208/p1
・「今、問われる 文化施設の使命とは」最終回(ミュージアムの小径、2007-12-09
http://d.hatena.ne.jp/takibata/20071209/p1

これが一回のシンポジウムの記録である。一つの事柄を丁寧に理解することがいかに労力を要するものなのかがよくわかる。

山中さんにせよ、早川さんにせよ、瀬瀧さんにせよ、こういうった日々の積み重ねがいずれなんらかの形で研究成果につながっていくだろう。その成果も重要だ。だが同時にその成果に至るまでに、どのような過程を経たのか。一つの結果にたどりつくまでのどれほどの過程が積み重なっているのか、そういった重層性が伝わることを私は重視したい。