記録管理学会、会誌「レコード・マネジメント」に掲載した「年金記録問題に寄せて」を公開
記録管理学会が会誌「レコード・マネジメント」54(2007-12)に掲載した「年金記録問題に寄せて」を公開した(公開日不明)。章立ては以下の通り。
- はじめに
- 日本における公的年金制度の沿革
- 年金記録問題の発生要因−社会保険庁のガバナンスの問題
- 会計上の問題
- 人事制度の問題
- 内部監査機能の問題
- 年金記録管理システムの再構築
- 政府・与党の方針
- 年金記録問題検証委員会の中間報告
- 年金記録適正化実施工程表
- 年金記録問題検証委員会の報告書
- 年金記録の保管状況
- 国会での論戦
- 政府・与党の方針
- 年金記録問題検証委員会の報告書
- 関連記録の管理
- 年金記録問題検証委員会の報告書
- 公文書管理との関係
- 見にくい?マイクロフィルム
- マイクロフィルムの特徴
- マスコミによる報道
- 「不鮮明」:考えられる理由
- 海外の年金記録管理
- おわりに
25ページ(本文16ページ、参考文献・資料9ページ)に及ぶ非常に本格的な記事となっている。末尾には「年金記録問題に関する文献リスト(一部)参考文献」も附されている。
「レコード・マネジメント」編集委員による、この「年金記録問題に寄せて」は「記録管理」という同学会の本旨に立ち、実に本格的に議論を展開しており、締めくくりの一文は感動的ですらある。
忘れることは失うこと、という。あるいは、「権力に対する闘いは、忘却にたち向かう記憶の闘いである」(ミラン・クンデラ)という。記録保存にとどまらず、記録の作成や管理を含めた方法の提示、さらには政策提言を、社会に向けて広く行うことが、記録管理学会として求められているのではないだろうか。
行政の失態を糾弾するのではなく、問題の背景やこれまでの経緯を丁寧に洗い出し、最終的には記録管理学会が果たすべき役割や責任にまで言及している。社会における学問の地位の軽さや学会の力の弱さを嘆くことは簡単だ。そして、悲嘆に終始している例は少なくない。それに対して、同学会、特に年金記録問題に対して、学問的な知見に立って具体的なアクションを起こした「レコード・マネジメント」編集委員の見識の高さには感心するよりほかにないだろう。そして、学会誌という読者の限られた媒体での掲載にとどめず、
我々編集委員会の論考を広くアピールしたいと考え、この全文をPDF形式で公開致します。
という英断に拍手したい。なお、「レコード・マネジメント」編集委員は以下の各氏である。
・『レコード・マネジメント』編集委員会からのお知らせ−第54号(2007年12月)での「年金記録問題」の取りまとめを全文公開致します
http://wwwsoc.nii.ac.jp/rmsj/nenkin.html
・「年金記録問題に寄せて」【PDF】
http://wwwsoc.nii.ac.jp/rmsj/nenkin2007.pdf
・「レコード・マネジメント」54(2007-12)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/rmsj/katsudo/kaishi/contents/no_54.html
・記録管理学会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/rmsj/