日経BPコンサルティング、「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2007/2008」を発表

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日経BPコンサルティングが「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2007/2008」を発表した(2007-12-25)。この調査は、

  1. 「トップページ・ユーザビリティ」は、トップページの使い勝手を評価するカテゴリー
  2. 「サイト・ユーザビリティ」は、サイト全体が使いやすい構造になっているかどうかを評価するカテゴリー
  3. 「メインコンテンツへのアクセス」は、受験生を中心にした大学サイトのターゲットの関心が高いコンテンツにつき、トップページから探しやすいかどうかを評価するカテゴリー
  4. アクセシビリティ」は、視覚障害者を中心に誰にでもサイトが使いやすいかどうかを評価するカテゴリー
  5. インタラクティブ」は、大学への訪問がしやすいか、大学への問い合わせがしやすいかどうかを評価するカテゴリー
  6. 「プライバシーポリシー」は、サイト利用者が提供する個人情報について、サイト運営者(大学)の保護方針を評価するカテゴリー

という6つのカテゴリー(診断軸)に基づく全62項目の調査を行うもので、今回で4回目(第1回:2004年版、第2回:2005年版、第3回:2006/2007年版)となる。最新の2007/2008版では徳島大学が国立大学では初めて第1位になったほか、以下のようにベスト10に新たに5大学がランクインしている(括弧内は前回順位と国公私立の別)。また、2005版と2006/2007版では連続して1位となった中央大学がベスト10から消えている。

過去3回の順位は以下の通り。

今回の調査は2007年10月5日から12月1日にかけて行われ、今回の調査では全国の国公立大学100校(国立大学74校、公立大学26校)と私立大学100校の合計200校が対象になっている。1位となった

徳島大学
http://www.tokushima-u.ac.jp/

は、調査期間中の2007年11月30日にサイトのリニューアルを実施しているが、今回の調査ではリニューアル前後のどちらのサイトが対象となったのかは明らかにされていない。

・「ホームページをリニューアルしました」(徳島大学、2007-11-30)
http://www.tokushima-u.ac.jp/article/0011344.html

さて、今回の結果で興味深いのは、

・「ゴメス・コンサルティング、「2007年8月大学サイトランキング」を発表」(新着・新発見リソース、2007-09-09)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070909/1189268499

で取り上げたゴメス・コンサルティングによる「2007年8月大学サイトランキング」との相違だろう。それぞれのランキングの上位10校を比較すると、まったく一致するところがない。ゴメス・コンサルティングはランキングの上位50校を公開しているが、この範囲でも一致するのは

の3校に限られ、日経BPコンサルティングの「全国大学サイト・ユーザビリティ調査」では5位の明海大学がゴメス・コンサルティングの「2007年8月大学サイトランキング」では50位にランクされるなど、逆転現象も見受けられる。

・「ゴメス・コンサルティング、「2007年8月大学サイトランキング」を発表」(新着・新発見リソース、2007-09-09)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070909/1189268499

で述べたように、大学サイトの幅広い役割を考えた時は、日経BPコンサルティングにせよ、ゴメス・コンサルティングにせよ、現行のランキングはけっして妥当なものとはいえないだろう。上記の記事で書いたように、

いまや大学における教育と研究はサイトを通して広く発信されている。いや、むしろインターネットの初期は教育や研究の過程と成果を発信するのが大学サイトであったとも思う。オープンコースウェアOCW)や機関リポジトリに限らず、大学サイトから発信されるコンテンツが多種多様となっている現在、大学サイトを広報のための企業サイトと同一にとらえたままでよいのだろうか。たとえば、広報サイトという枠組みを超えて、アカデミックポータルとして位置づけ、それに見合った評価の尺度と指標を設ける時期ではないだろうか。

という思いはぬぐえない。なお、この問題意識を発展させ、愛媛大学広報シンポジウムで「大学の広報と学術研究情報−大学ウェブ広報における「研究」の位置」として発表している。

・「愛媛大学広報シンポジウムで講演とディスカッション」(編集日誌、2007-12-06)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20071210/1197214983

・「日経BPコンサルティング調べ−「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2007/2008」より−大学サイトの「使い勝手」を横断的に評価 ベスト10に5大学が新たにランクイン。国公立大学が初の1位に」(日経BPコンサルティング、2007-12-25)
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/release/uni071225.html
・全国大学サイト・ユーザビリティ調査2007/2008
http://www.nikkeibpm.co.jp/bz/chosa/uschosa/
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/sales/uni/2007/
・「「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2007/2008」から リニューアルに頼らなくても、ユーザビリティ向上は可能明治学院大学一橋大学など7大学の改良に注目」(NBPCコラム24-2)
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/market-news/contents/column/column24-2.html
・「日経BPコンサルティング調べ−「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2006/2007」より−一昨年、昨年に引き続き、大学サイトの「使い勝手」を横断的に評価 ベスト10に4大学が新たにランクイン。中央大学はV2達成」(日経BPコンサルティング、2006-12-19)
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/release/uni061219.html
・全国大学サイト・ユーザビリティ調査2006/2007
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/sales/uni/2006/
・「日経BPコンサルティング調べ−大学サイトの「使い勝手」を横断的に評価 使いやすさのトップに輝いたのは、中央大学−「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2005」より−」(日経BPコンサルティング2005-12-14
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/release/uni051214.html
・全国大学サイト・ユーザビリティ調査2005
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/sales/uni/2005/
・「日経BPコンサルティング調べ−全国300大学のウェブサイトの使い勝手を横断的に評価 使いやすさのトップに輝いたのは、金沢星稜大学−「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2004」より−」(日経BPコンサルティング、2004-09-15)
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/release/uni040915.html