2008-01-25(Fri): 第9回図書館総合展での大串夏身さんの講演記録−図書館員は検索エンジンをどう捉えられるのか

日外アソシエーツが2007年11月8日に第9回図書館総合展で行ったセミナー「インターネット時代のレファレンス−書誌・索引とインターネットの活用」の講演記録を公開している。講演者は大串夏身さん(昭和女子大学)。

日外アソシエーツ主催セミナー「インターネット時代のレファレンス−書誌・索引とインターネットの活用」(大串夏身教授)
http://www.nichigai.co.jp/sales/oogushi_seminar2007.html

基本的には紹介としてここに書いておくつもりなのだが、一点だけコメントしておきたい。大串さんとしては本論ではないと思うが、「はじめに−変わるレファレンスサービスを取り巻く環境」の「1)Googleなどの総合的な検索エンジンの新しいサービス」に、こういう箇所がある。

会社から請け負って検索結果の上位に表示するというサービスがありまして、いろいろとやって一番上の方に表示させる。要するにインターネットは今まで情報操作がないという幻想が広まっていますが、これは明らかな幻想です。

これは何を指しているのだろうか。おそらくは検索連動型広告を念頭においているのだと思うが、この言い方は慎重さに欠くように思う。一般に検索エンジンは、入力されたキーワードに関連するテキスト広告を検索結果画面に表示するが、その広告と通常のキーワード検索の結果はあくまで別の位置に表示される。または背景色をつけるといった差別化が図られている。情報操作とまで言い切るのであれば、検索エンジンのどの部分を問題視しているのか、具体例を挙げながら語るべきではないか。この種の論説は、けっして大串さんに限らず、図書館関係者からときおり発せられるが、いずれの論説も対象を十分に理解したうえでなされているだろうか。

不確かな情報に基づいて方向を誤ることを、ただただ懸念してしまう。

ところで、上で引用した箇所の少し前で、大串さんが

それから、Googleなどのロボット型の検索エンジンがこの間やってきたのは、カテゴリーやディレクトリを作ること。やはり一覧の形式で示すといろいろと問題が多いということで、カテゴリーで確実に分かるものは分類(カテゴリー)で探していただく、こういうサービスも始めた。それを充実させているということですね。

と、述べているが、ここは何を指しているのだろう? 見当がつかないので、当日聴講された方がいればご教示を。