2008-02-22(Fri): 第4回レファレンス協同データベース事業参加館フォーラムで講演

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国立国会図書館関西館で開催された第4回レファレンス協同データベース事業参加館フォーラムで、「レファレンス協同データベースに期待すること−Web標準API公開、レファレンス再定義」と題して講演。

・「レファレンス協同データベースに期待すること−Web標準API公開、レファレンス再定義」【PPT】
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/doc/4th_crd_forum(20080222).ppt
・第4回レファレンス協同データベース事業参加館フォーラム
http://crd.ndl.go.jp/jp/library/forum_4.html
国立図書館関西館
http://www.ndl.go.jp/jp/service/kansai/

フォーラムの全体構成は以下の通り。

  1. 開会挨拶
  2. 事業報告
  3. 基調講演
  4. 報告
    • 宮川陽子(福井県立図書館)「活用と登録の相乗効果を狙って−福井県立図書館 レファレンス協同データベースの使い方」
    • 熊谷慎一郎(宮城県図書館)「レファレンス協同データベースの歩き方−個人活動と組織活動の相互関係」
  5. 講演
    • 岡本真「レファレンス協同データベースに期待すること−Web標準API公開、レファレンス再定義」
  6. パネルディスカッション
    • 「レファレンス協同データベースの役割を問い直す−レファレンスサービスが、もっと評価されるために」
  7. 本吉理彦(国立国会図書館関西館図書館協力課長)「閉会挨拶」

なお、パネルディスカッションの冒頭で次の報告が行われた。

  • 牛澤典子「レファレンス協同データベースの有効利用−東邦大学医学メディアセンターの場合」
  • 寺尾隆「レファレンス協同データベースの役割を問い直す−レファレンスサービスが、もっと評価されるために」
  • 小田光宏「研修プログラムの開発と実験的試行−レファ協版秋田レファレンス探検隊」

以下、メモを元に印象的だったことを記しておこう。

冒頭の開会挨拶では、和中幹雄さん(国立国会図書館関西館長)が4回目を迎えたレファレンス協同データベース事業参加館フォーラムの特徴として、

  1. レファレンス協同データベース事業への未参加館からの参加があること。
  2. 図書館の世界の外からの参加があること

を挙げていた。自分自身が図書館外の人間なので手前味噌ではあるが、確かに「もっと評価されるために」という大きなテーマを掲げた今回の場合、この2つは重要だったと思う。事業にすでに参加している図書館の間での議論も必要だ。だが、それだけではインナーサークルでの議論に終始してしまう。事業への参加を見送っている図書館がどのように考えているのか、図書館には直接関係を持たない立場に事業がどのように見えているか。今回の企画はこういった点が強く意識されていたように思う。その背景にはレファレンス協同データベースが決して現状に満足していないという認識や、一歩先へと進もうとする強い意思があるのだろう。

また、パネルディスカッションの進行が非常にすばらしかったと思う。これはランチの時間帯にそれまでに聴衆からあがった質問に目を通し、パネルの全体進行をまとめてくださった山崎博樹さんのお力あればこそだろう。ディスカッションのテーマを

  1. 事例の収集と質の向上
  2. 登録された事例の活用
  3. レファ協の位置付け

に絞りつつ、それぞれのテーマが孤立せず、関わり合いながら話題になった。パネルディスカッションは往々に中途半端で消化不良に終わりがちだが、コーディネーターの手腕によって、これほど素晴らしいパネルディスカッションが実現するということに、深い感動を覚えた。とにかく山崎さんに感謝したい。

なお、レファレンス協同データベース事業については、『国立国会図書館月報』563号(2008年2月)に、国立国会図書館関西館図書館協力課による「レファレンス協同データベース事業のこれから−システム提供開始から5年目を迎えるにあたって」、山崎博樹さんによる「レファ協の子どもたち」、愛知県勤労会館労働図書資料室による「専門図書館としてレファレンス協同データベースに期待すること−労働図書資料室の現状と課題」が掲載されている。まだウェブでは公開されていないが、近日中に公開されるだろう。こちらもぜひお読みいただきたい。

国立国会図書館月報
http://www.ndl.go.jp/jp/publication/geppo/

その他、様々なことを考える機会となったが、個々の論点については追って話題にしていきたい。フォーラムの参加者がおおよそ100名、その後に開催された茶話会の参加者がおおよそ50名と、終始盛況であったことが印象的だ。これほど規模の催しをつつがなく企画・運営してくださった国立国会図書館の方々、特に実務を担っていた関西館図書館協力課の鈴木智之さん、藤河正憲さん、小篠景子さんに感謝したい。