国立民族学博物館、松尾三憲旧蔵絵葉書コレクションを公開(公開日不明)

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国立民族学博物館が松尾三憲旧蔵絵葉書コレクションを公開している(公開日不明)。

・松尾三憲旧蔵絵葉書コレクション
http://nmearch.minpaku.ac.jp/matsuo/
国立民族学博物館
http://www.minpaku.ac.jp/

この絵葉書は旧海軍の松尾三憲さんが1919年から1923年の間に航海訓練で訪れた各地で買い集めたもので、188枚中169枚が電子化されている。絵葉書に描かれた地域は実に興味深い。つまり、いずれも

  1. 朝鮮半島、台湾といった日本の支配下にあった地域
  2. 大連、旅順といった日本が租借していた地域
  3. サイパン島パラオ島、ヤップ島といった日本が委任統治していた地域

であり、当時の日本の勢力圏が明瞭にみてとれる。特に南洋諸島については次のように日本の進出が進んだ時期である。

日本の進出・支配が進む中での現地の様子を伝える資料であるのと同時に、当時の日本海軍の行動の軌跡を示している。

このように当時の地理と密接に関わっている資料であるだけに、現状のようなデータの一覧と検索だけでは資料の魅力を十分に引き出せていない。当時の地図や年表と絵葉書を関連付けて見せるようにすれば、資料の魅力がより際立つのではないだろうか。

また、南洋・南方に限っても、他に以下のようなリソースがすでに公開されている。

・「琉球大学附属図書館、矢内原忠雄文庫植民地関係資料データベースを公開」(新着・新発見リソース、2006-09-02
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060902/1157133885
・「北東アジア・データベース研究会、戦前期東アジア絵はがきデータベースを公開」(新着・新発見リソース、2005-03-23)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20050323/1134888516
・「アジア経済研究所図書館、「デジタルアーカイブス『近現代アジアの中の日本』」を公開」(新着・新発見リソース、2007-01-05
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070105/1167953143
・「アジア経済研究所図書館、デジタルアーカイブスで「岸幸一コレクション −南方関係軍政・海軍資料を中心に」を公開」(新着・新発見リソース、2006-09-02
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060902/1157133876

尾三憲旧蔵絵葉書コレクションを構成する絵葉書は1919年から1923年に収集されているが、上記のリソースにはその前後の時代の資料が多く含まれている。これらのデータベースを横断的に見渡すと、当時の日本の南洋統治の実態が歴史的な視点でみてとれるだろう。このような注釈を添えつつ、松尾三憲旧蔵絵葉書コレクションから上記のリソースにリンクして紹介してもいいかもしれない。

なお、クレジットが明記されており、以下の諸氏の氏名が挙げられている。

・制作スタッフ
http://nmearch.minpaku.ac.jp/matsuo/staff.html

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また、これまで気づかなかったが、国立民族学博物館のサイトには、

民族学研究アーカイブ
http://nmearch.minpaku.ac.jp/

が設けられており、松尾三憲旧蔵絵葉書コレクション以外に

  1. 菊沢季生アーカイブ
  2. 篠田統アーカイブ
  3. 土方久功アーカイブ
  4. 馬淵東一アーカイブ
  5. 「日本文化の地域類型研究会」アーカイブ

が公開されている。アーカイブの構築は2005年度から始まっていたようだ。これまでその存在に気付かなかった不明を恥じつつも、国立民族学博物館には「いつ」「なにを」公開したのか、その記録のわかりやすい発表と保存をお願いしたい。