2008-08-21(Thu): 日本図書館協会中堅職員ステップアップ研修(2)で演習−「図書館ポータルの評価の実際」(領域:情報資源管理)(2)
・「日本図書館協会中堅職員ステップアップ研修(2)で講義−「図書館ポータルのデザイン」(領域:情報資源管理)」(編集日誌、2008-07-21)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080722/1216653993
・「日本図書館協会中堅職員ステップアップ研修(2)で演習−「図書館ポータルの評価の実際」(領域:情報資源管理)」(編集日誌、2008-08-17)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080818/1219070727
で書いたことの続き。演習で13の図書館サイトのレビューをしたのだが、その際に書き留めた、または実際に話した指摘点をここに記しておこう。受講生の方々はもとより、他の方々の参考になるところがあれば幸い。
・足立区立図書館
http://www.lib.adachi.tokyo.jp/
・やんぐこーなー
http://www.lib.adachi.tokyo.jp/young/
はページの右側に上からブタ、ゾウ、サル、カメ、ヒツジの画像が並んでいて、画像にリンクが張られている。画像を使うこと自体は否定しないが、これではリンク先が何なのかわからない。
・足立区子ども読書活動推進計画
http://www.lib.adachi.tokyo.jp/keikaku/
は行政文書がそのまま掲載されているようでわかりにくい。また、
・図書館だより かけはし
http://www.lib.adachi.tokyo.jp/info/tayori/
はせっかくのコンテンツ。PDF形式での公開はもったいない。
逆にトップページの左上に
- 利用案内
- 図書館のあゆみ
- 学校の先生方へ
とあるが、この
・学校の先生方へ
http://www.lib.adachi.tokyo.jp/info/sensei/
は適切な配慮と思う。公共図書館と学校との連携を進める上で非常によい取り組みだ。
また、トップページ上部の画像にはヒマワリが描かれている。もし、季節ごとに絵を変えているのであれば、サイトがきちんと運営されている印象を利用者に与える優れた配慮といえる。
・高松市図書館
http://library.city.takamatsu.kagawa.jp/
「次のページが想像できる短く簡潔な表現」を意識したという。確かにトップページのメニューは「資料を探す」「調べものをする」「利用状況を見る」など、動詞でわかりやすくまとまっている。
演習の際の質疑でも出たが、各種申請書を公開している
・申請書ダウンロード
http://library.city.takamatsu.kagawa.jp/download/library_dload.html
はPDF形式よりWordの形式のほうがよいだろう。そのほうが利用者がダウンロードしたファイルに書き込むことができ、より便利になるはずだ。
・上越市立図書館
http://www.lib.joetsu.niigata.jp/
フレームを利用しているため、どのページもURLが<lib.joetsu.niigata.jp>になってしまうのは難点。URLをコピーしてメールで知り合いに送ったり、個人のサイトやブログから直接いずれかのページにリンクしたりといった使われ方を幅広く考える必要があるだろう。
お知らせ掲示板と問い合わせ先の間に、
アクセスできない時間があります!
という一文があり、
・御利用できない時間帯について
http://www.lib.joetsu.niigata.jp/seigen.html
にリンクしている。ここにこう書かれている。
毎日早朝に、このホームページに接続できない時間帯
がありますが、これはサーバーのメンテナンスのためです。
30分程度で復旧しますので、時間をずらしてご利用ください。また、予約システム運用上の都合により、
午前8時30分から9時30分まで
予約入力できません。ご了承下さい。
そもそもサービスが停止する時間は一切ないことが望ましいが、やむをえないのであれば、せめて時間帯を考慮したい。「午前8時30分から9時30分まで」という時間帯は上越市の市民の生活時間を考慮しているだろうか。
・インターネットで本の予約をするには?
http://www.lib.joetsu.niigata.jp/hatuyoya.html
のページには一工夫を感じる。ページの一番下に
それでもやっぱり予約できない!そんな時はコチラへ→
という文章があり、クリックすると、
・予約ができない!そんなときは?
http://www.lib.joetsu.niigata.jp/osirase.html
へと移動する。この誘導の仕方は利用者の動線がよく考えられている。
・千代田区立図書館
http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/
まずトップページ上部の画像が大きすぎ、無駄にスペースを使っている。ビジネス用途の利用者を意識している千代田区立図書館の場合、繰り返しサイトを訪れる利用者の割合が他の公共図書館以上となるだろう(ならなくてはいけない)。繰り返し訪れるサイトであると考えるなら、この画像は利用者にとって余計な情報になってしまう。
また、この画像の左にある
さあ、→
図書館に
行こう!
というロゴは「→」がついていることもあり、クリックできるリンクになっているかのような誤解を与えてしまう。リンク先を用意するか、画像の表現を工夫する必要があるだろう。
「お知らせ」には、「NEW」というマークがついているが、このマークの運用方法は決まっているだろうか。たとえば、1週間以内のお知らせだけに「NEW」をつけるようにしたほうが、繰り返しの利用者にとってはありがたい。
・ミッションステートメント
http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/message/statement.html
に掲げられている文章は千代田区立図書館の姿勢をよく伝えているが、画像である理由はないはず。言及されることが多い文章だけに、全文をコピーしてもらい、ブログやサイトで広めてもらうほうが図書館のアピールにもなる。ぜひテキストにして公開してほしい。
・恵那市中央図書館
http://library.city.ena.gifu.jp/
トップページの左側に開館日カレンダーがあるが、これはスペースを取り過ぎている印象がある。まずはサイトをみたその日の開館状況がわかればいいわけで、たとえば、
・徳島大学附属図書館
http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/
のトップページ右側にあるように、
開館時間
本日:Closed
明日:Closed
[本館カレンダー]
という表示方法にしてもよいのではないか。
・基金について
http://library.city.ena.gifu.jp/etc/kikin.html
のページは、もっと充実させてほしい。他館にはないユニークな試みでもあり、もっとアピールしたほうがよいだろう。また、市への寄付の増加を考えるのであれば、このページから
・ふるさとえな応援寄付金制度
http://www.city.ena.lg.jp/modules/government/index.php?content_id=338
にリンクすることも考えたい。
・新潟市立西川図書館
http://www.nnl.jp/
・郷土の偉人
http://www.nnl.jp/ijin.html
のページで、
・水不足から曽根を救った高橋源助【PDF】
http://www.nnl.jp/gensuke.pdf
という江戸時代の義民の話を掲載している。この高橋源助については、
・近藤一男・加藤武雄著『義人 高橋源助』
という本が1978年に発行され、所蔵もしているようだ。であれば、その書誌情報を「郷土の偉人」のページや「水不足から曽根を救った高橋源助」のページに掲載し、OAPC(蔵書検索)の書誌詳細ページにリンクしてほしい。これは一例に過ぎないが、こうやってコンテンツから蔵書へと利用者を誘導していくリンクを設けることを意識したい。
・ふじみ野市立上福岡図書館
http://www.library.kamifukuoka.saitama.jp/
トップページ中央にある「お知らせ」に、
テーマ展示ミニは、「開幕!オリンピック 古代オリンピックから北京まで、その歴史をたどる」です。カウンター脇に展示していますので、ご利用ください。(2008/8/13)
とある。せっかくこのようなテーマ展示を行うなら、サイト上でも書名リストを公開し、書名からOPACの書誌詳細ページに誘導するリンク集にしてほしい。
また、同じく「お知らせ」の個所だが、掲載されている2本のお知らせの下に、
・ふじみ野市立上福岡図書館 - お知らせ
http://www.library.kamifukuoka.saitama.jp/osirase.html
へとつながるリンクを置いたほうがよい。現状ではトップページの「お知らせ」とお知らせのページが結びついていない。
・千葉県立図書館
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/
開館日のカレンダーに月ごとに入れられたイラストがいい。こういった季節感を出す工夫は大事。
・年間カレンダー
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/06guide/calendar.html
・こどものページ(千葉県立中央図書館児童資料室)
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/kids/
のOPACのヘルプは図解の上、具体的な入力例として「ぐりとぐら」が挙げらており、わかりやすくなっている。
・ヘルプ
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/kids/help_kodomo.html
・吹田市立図書館
http://www.lib.suita.osaka.jp/
下線が引かれているリンクと引かれていないリンクが混在し、リンクの書式が一定していない。
・吹田図書館メールマガジンバックナンバー
http://www.lib.suita.osaka.jp/sdi/backnumber/
で公開されている過去の発行分には、いずれも
無断転載転送を禁じます
とあるが、図書館の活動を幅広くアピールすることを考えるなら、むしろ転載転送歓迎のほうがよいのではないか。
・千葉市女性センター情報資料センター
http://www.chp.or.jp/chiba_women/
討論でも出ていたが、色合いをはじめとするデザインが女性的であることを意識し過ぎているのではないか、という見方は秀逸。確かに女性センターが逆にジェンダーバイアスにとらわれている可能性がある。
男女共同参画のポータルになっていない。まず女性センターありきではなく、たとえば子育て支援情報を充実させることで、役立つ情報を提供していたのが結果的に女性センターだったという利用経験を広げていく必要がある。
・浦河町立図書館
http://tinyurl.com/5wqzgl
・浦河百話
http://tinyurl.com/48435m
のような郷土関係のコンテンツを生かしたい。また、競走馬の産地らしく1984年以降の「週刊 競馬ブック(関東)」を所蔵していることをもっと前面に出すとよいのではないか。
・日本医科大学図書館
http://libserve.nms.ac.jp/
リンクになっているテキストの文字色と非リンクのテキストの文字色がほぼ同じなので、どこがリンクなのか区別がつかない。リンクの色は青という基本に準じたほうがいいように思う。また、トップページの左側に置かれたメニューは、「図書館所蔵資料情報」のように同一ページ内で移動する場合と、「検索・データベース」のように別ページに移動する場合とが混在している。同じ位置にあるリンクの動作は極力揃えたほうが利用者のサイトに対する学習効果を期待できる。
・奈義町立図書館
http://www.town.nagi.okayama.jp/library/
トップページにあるタイトルや画像をクリックできるのか一瞬迷うが、ポインタを当てると画像が反射するようになっているので、クリックできそうだという印象を利用者に与えている。これは優れた工夫。トップページからリンクをクリックして進んだ
・メインメニュー
http://www.town.nagi.okayama.jp/library/menu.html
ではページの中段に同じように画像でメニューが置かれているが、ここは同様の効果が仕込まれていないので、クリックできるのか一瞬迷ってしまう。
以上、参考までに。