2008-10-10(Fri): 図書館による観光支援の可能性と実施例

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今年行った講演の中でも、第17回京都図書館大会での「いま図書館に求められる新たなウェブ活用戦略−試論:観光支援によるLibrary inside」は我ながら良かったと思っているのだが、うれしい反応が一つあった。

・「第17回京都図書館大会で「いま図書館に求められる新たなウェブ活用戦略」と題して講演」(編集日誌、2008-09-03)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080908/1220885898

ブログ「Traveling LIBRARIAN−旅する図書館屋」で、こう取り上げてくれている。

京都を例に、

  • <下調べ>→<旅>というプロセスにおける観光情報のプロバイダとしての図書館の不在
  • 図書館の提供する情報と観光客ユーザの求める情報のギャップ
  • 既存の観光情報源と図書館の持つ観光情報源のマッシュアップ&提供の可能性

ということが指摘されている。ここで指摘されているのは、<観光>という新たな領域で<旅行者>という新たな対象に、図書館がもっとコミットしていくことの可能性だ。

・「蛇足「八重山図書館考」」(Traveling LIBRARIAN−旅する図書館屋、2008-10-10)
http://d.hatena.ne.jp/yashimaru/20081010/p1

自分の話した内容をこうやってまとめ直してくれると、実に勉強になる。しかも、id:yashimaruさんは確か当日会場にいらしたわけではなく、後日資料を通して講演内容を把握してくれたはず。ありがたいことだ。

さて、いい機会なので、最近見かけた観光支援の実施例を一つ紹介しておきたい。

・「鳥取県立図書館メールマガジン」第225号(2008-09-26)
http://www.library.pref.tottori.jp/melmag/backnum/2008-09-26.html

に、「図書館の情報発信力と観光展示」と題して、同図書館の取り組みが紹介されている。

「図書館の資産は何か?」という問いに多くの皆さんは「資料」であるとお答えになるのではと想像する。図書・雑誌・新聞などの図書館資料はもちろん重要で、それらを保存、整理、提供することは図書館の重要な仕事である。しかし、ここで発想を変えて、「図書館の資産はお客様である」と考えてみるのはどうだろうか。

(中略)

県立図書館では、この点に注目して鳥取県の観光展示を他県の図書館で実施し、他県の観光展示を鳥取県立図書館で展示するという試みを始めた。第一弾はこの夏に津山市立図書館で「忘れられない夏〜とっとり県の海、鳥取県の夏〜」として実施した。幸い津山市立図書館の方にも利用者にも好評で多くのパンフレットが持ち帰られた。

この冬には第二弾として高知県立図書館を始めとする四国4県の図書館で「雪のある風景を楽しむ!鳥取県の冬景色」を開催する予定である。
(後略)

鳥取県立図書館
http://www.library.pref.tottori.jp/
・協働企画展示「忘れられない夏〜とっとり県の海、鳥取県の夏〜」
http://www.library.pref.tottori.jp/event/kyoudou_kikaku_2008.html
・企画展示『ぶらっと高知、おもいっきり高知、やっぱり高知』【PDF】
http://www.library.pref.tottori.jp/event/kouchi_2008_01.pdf
高知県立図書館
http://www.pref.kochi.jp/~lib/
・「くろしおくん、鳥取県にいく!(相互観光展示プロジェクト)」(高知県立図書館)
http://www.pref.kochi.jp/~lib/topics/topics.html
津山市立図書館
http://tsuyamalib.tvt.ne.jp/

鳥取県立図書館の取り組みは、私が考える観光支援とはかなり異なるのだが、幾つかの試行錯誤を経て形を変えながら根づいていってほしい。