2008-11-07(Fri): 筑紫哲也さん逝く

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筑紫哲也さんが亡くなった。ある程度、想定されていたこととはいえ、衝撃を覚える。自分にとって筑紫さんはやはりNews23のキャスターとしての印象が強い。そして、News23といえば、やはり、

・TBS - 多事争論
http://www.tbs.co.jp/news23/old/onair/taji/souron08.html

だろう。News23自体をそれほど熱心に見ていたわけではないのだが、印象的だったのは、1996年8月15日の「『である』ことと『する』こと」だ。

・1996年8月15日の多事争論「『である』ことと『する』こと」
http://www.tbs.co.jp/news23/old/onair/taji/s60815.html

この日の多事争論は、こんな語り出しで始まっている。

丸山真男という碩学がいます。戦後、日本が生んだ最高の知性だと、私は思うのですけれども。

以降、

日本の思想 (岩波新書)
丸山眞男著『日本の思想』(岩波新書、1961年、735円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/400412039X/arg-22/

に収められている論文「『である』ことと『する』こと」に基づく話が続くのだが、この日のこの話題を持ってくるのはさすが丸山眞男の蓮華窓の弟子を自称する筑紫さんらしいと感心したものだ。そして、さらに実はその日に丸山眞男が亡くなっていたことにも大いに驚かされた。そのときの状況はさらに後日の多事争論で筑紫さん自身が語っている。

・1996年9月2日の多事争論「補」
http://www.tbs.co.jp/news23/old/onair/taji/s60902.html

と、さまざまなことを思うのだが、いま最も思うことは、様々な批判があるのだろうが、筑紫さんは多事争論での自らの言論に非常に責任感を持っていたということだ。テレビやラジオでの発言はその場限りで、言ってみれば垂れ流しのままで終わることが多い中、多事争論は筑紫さんの発言内容を文章にして、公開してきた。だからこそ、いままさにしているように、そのときどきの多事争論に言及・リンクし語ることができる。多事争論アーカイブ化に筑紫さんの意図がどれだけ働いていたのかはわからない。だが、日本のテレビ界にあって、多事争論アーカイブ化は稀有な事例であることは覚えておきたい。

・TBS - 多事争論月別リスト
http://www.tbs.co.jp/news23/old/onair/taji/solist.html

ニュースキャスター (集英社新書)
筑紫哲也著『ニュースキャスター』(集英社新書、2002年、693円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087201457/arg-22/