2009-03-02(Mon): 最近読んだ本
例によって最近読んだ本をいくつか紹介。
・吉原真里著『ドット・コム・ラヴァーズ−ネットで出会うアメリカの女と男』(中公新書、2008年、819円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4121019547/arg-22/
実に痛快な作品。ありきたりな文学作品を読むよりはるかに惹きこまれるのではないか。ちなみに、著者のブログがある。
・Dot Com Lovers
http://mariyoshihara.blogspot.com/
・林信行著『進化するグーグル−世界を掌握する“未来戦略”』(青春新書INTELLIGENCE、2009年、767円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4413042255/arg-22/
Googleの歴史を概観したい方には、新書というボリュームもあり向いているかもしれない。ただし、Google Street Viewの描き方は極めてGoogleに肩入れしており、ITジャーナリストとしては客観性を欠いている。もし、ここに書かれているような対応をGoogleがとっていたのなら、あれほど大きな問題にはならなかっただろう。
個人的には、Google創業者の一人であるラリー・ペイジが初来日時に語ったという
- 何よりも製品が大事
- まずはポテンシャルを試せ
- (ウイルスのように広げろ)マーケティングは不要
- 明快な目標の設定と焦点の絞り込み
- 人々の暮らしに影響を与えよ
- 大きなマーケットに狙いを定める
という6つの教訓が興味深い。
こちらも著者のブログがある。
・nobilog2
http://nobi.cocolog-nifty.com/
・橋本大也著『情報力』(翔泳社、2009年、1029円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4798118494/arg-22/
インターネットの利用方法を手際よく整理しており、さすがこの著者ならではと思わせる。インターネットに関心はあるが、もう一歩踏み出せないという方に勧めるのにちょうどよさそう。
・情報考学 Passion For The Future
http://www.ringolab.com/note/daiya/
・中井浩一著『大学「法人化」以後−競争激化と格差の拡大』(中公新書、2008年、1050円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4121502884/arg-22/
2004年の国立大学法人化の前後の状況をつづった430ページに及ぶ大著。もう少しコンパクトにならないかという批評もみるが、むしろよくここまでまとめたものだと思う。ただし、ある程度、日本の大学事情に通じていないと理解しづらい箇所も多いだろう。また、書名は『大学「法人化」以後』ではなく、『国立大学「法人化」以後』としたほうが、内容を把握しやすかったのではないだろうか。
・中井浩一ブログ
http://nakai.2-d.jp/
最後に最近の最大の収穫を一冊。
・湯浅誠著『反貧困−「すべり台社会」からの脱出』(岩波新書、2008年、777円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4004311241/arg-22/
いまだ記憶に新しい昨年末の年越し派遣村の中心人物である湯浅さんの著書。特に印象的だったのは、「溜め」という考方の提示と、「政治」の位置づけ方だ。後者は政治の責任と言って、課題の最終解決を国会審議に託してしまう我々の思考・行動を厳しく戒めてくれる。議会による政治もあれば、選挙による政治もある。政治の責任、政治の決断という言葉で、責任の一切を放棄し、政治家に押しつける構造にいまさらながら気づかされた。
・反貧困ネットワーク
http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/
・自立生活サポートセンターもやい
http://www.moyai.net/
・年越し派遣村
http://hakenmura.alt-server.org/