[2009-06-17(Wed): 人工知能学会 第23回全国大会(JSAI2009)で講演を2つ
早朝に羽田を発ち、昼には高松市内へ。
2009-06-17(Wed)〜2009-06-19(Fri):
人工知能学会 第23回全国大会(JSAI2009)
(於・香川県/サンポートホール高松)
http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/conf/2009/
で2つの講演をさせていただいた。
まずは、特別セッション「研究とビジネスの境界で」で、「ウェブ技術と産学連携−世界を変えるイノベーションを生み出すために」と題して講演。学術情報や大学、図書館といった、私のこれまでの活動をご存知の方からすると、「おや?」と思う内容だろうが、なぜかは追々明らかにしたい。
・特別セッション「研究とビジネスの境界で」
http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/conf/2009/index.php/special
・「ウェブ技術と産学連携−世界を変えるイノベーションを生み出すために」【PPT】
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/doc/JSAI2009_special(20090617).ppt
自分の講演の前後で、
- 末吉隆彦さん(クウジット)「「PlaceEngine」技術とビジネス展開について」
- 橋本大也さん(データセクション)「ギークとスーツのバランス経営」
のお話を拝聴したのだが、非常に刺激的だった。末吉さんのお話には、発想の転換と技術の追求でこれほどのことが可能になるのか、という驚愕と感動があった。
・クウジット
http://www.koozyt.com/
・PlaceEngine
http://www.placeengine.com/
・ロケーションウェアの「空」と「実」(末吉隆彦さん)
http://japan.cnet.com/blog/sueyoshi/
橋本さんは講演を大きく10のポイントに分けていたが、以下参考までに。
- 「スーツが100%理解できる簡単な話をせよ」。
- 「80%できていたら売り込め」
- 「ブログを書け、本を出せ、個人ブランドを創造せよ」。
- 「弱い紐帯をいっぱい維持せよ」。
- 「スーツを不合理と思うな、合理性の塊である」。
- 「本を圧倒的に多読、乱読せよ」。
- 「師弟・徒弟関係からオープンイノベーションへ」。
- 「海外情報の紹介者になれ」。
- 「BuzzWordをバカにするな、それを利用せよ」。
- 「「スーツかギークか?」という問題設定が間違っている」。
特に3番目、4番目の価値は私も強く同感。
・情報考学 Passion For The Future(橋本大也さん)
http://www.ringolab.com/note/daiya/
・データセクション
http://www.datasection.co.jp/
3人の講演を受けて、その後は井手剛さん(日本IBM)の司会の下、講演者3名にさらに新谷虎松さん(名古屋工業大学)、藤本和則さん(近畿大学)、大向一輝さん(国立情報学研究所)を交えてパネルディスカッション。基本的には、
- 「技術は大切、○○も大切」
- 「パクったらダメよ」
- 「ビジネスをやれると思った瞬間」
- 「恍惚を感じる時」
- 「若者よ:成功する人の条件とは?」
というお題に沿っての討論だったのだが、この形式、私としては面白かった。その場での盛り上がりも十分にあるのだが、さらに終了後、個々のお題に対する私の発言に対して個別にコメントいただけることが多く、パネリストとしてはたくさんのお土産をいただけたように思う。司会の井出さんをはじめ、パネリストの皆さま、聴衆の皆さまに感謝。
4時間近いセッションを終えて若干の休憩の後、今度は、
・メンタリングセッション
http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/conf/2009/index.php/mental
で、「企業は研究者をどう見つけるか−Findabilty/Visibility向上のためのウェブ活用のススメ」と題して短い講演。
・「企業は研究者をどう見つけるか−Findabilty/Visibility向上のためのウェブ活用のススメ」【PPT】
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/doc/JSAI2009_mentaling(20090617).ppt
自分としてはいま一つの出来であったと思っているのだが、強めのメッセージにうなずいてくださった方もいたようなので良しとしよう。要するに、特に博士課程に進学するつもりの学生・院生へのメッセージとして、「自己の存在証明」として名を伏せずにウェブで発信すること、それができるかどうかが、研究者への第一歩であると説いたつもりだが、これは切実に思うところだ。特別セッションでの橋本さんの話にも通ずるが、専門家集団での評価を得ることも大事だが、同業者を含め広く社会の中で自分がここにいるということを可視化しておかないと、これからの研究者は厳しい時代を迎えると思う。同じことは別に研究者とその候補生に限った話ではなく、様々な専門家集団にも当てはまるはず。自身を専門家であるとみなすのであれば、ぜひ発信することを恐れず一歩踏み出してほしい。
夜は懇親会を途中で抜け出し、昨年の日本図書館協会中堅職員ステップアップ研修(2)を受講してくださった石原敏滋さん(当時:高松市牟礼図書館)と、会場でようやくお目にかかれた予測市場で有名な佐藤哲也さん(静岡大学)と勝手懇親会。石原さん、佐藤さん、ありがとうございました。
・「日本図書館協会中堅職員ステップアップ研修(2)の受講生たち」(編集日誌、2008-09-07)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080909/1220892983
・「日本図書館協会中堅職員ステップアップ研修(2)で演習−「図書館ポータルの評価の実際」(領域:情報資源管理)」(編集日誌、2008-08-17)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080818/1219070727
・「日本図書館協会中堅職員ステップアップ研修(2)で演習−「図書館ポータルの評価の実際」(領域:情報資源管理)(2)」(編集日誌、2008-08-21)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080824/1219565039
・静岡大学情報学部佐藤研究室
http://tai.ia.inf.shizuoka.ac.jp/
さて、人工知能というと、ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)の主たる読者である図書館・情報センター系の方々にはあまり関心がないかもしれない。しかし、全国大会のサイトや、そこにある大会プログラムをみるとわかるように、いまのウェブ研究の最前線が伝わってくるものであって、決して図書館・情報関係に無縁な話ではない。
・人工知能学会 第23回全国大会(JSAI2009)
http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/conf/2009/
ぜひ、関心を持ってほしい。
・大会プログラム
https://kaigi.org/jsai/webprogram/
では、予稿も公開されているので、これを活用しない手はないだろう。ちなみに、人口知能学会は、これまでACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)でも紹介しているし、イベントカレンダーでも同学会関連のイベントをしばしば掲載している。これだけをとっても本来は図書館・情報関係者が視野に入れるべき領域だと思ってほしい。
・「人工知能学会、JSAI2008大会支援Webシステムを公開(公開日不明)」(新着・新発見リソース、2008-06-17)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080617/1213628735