2009-07-31(Fri): 在職10年・Yahoo! JAPANを退職しました。

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本日をもって、約10年間勤務したYahoo! JAPANを退職しました。

Yahoo! JAPAN
http://www.yahoo.co.jp/

この数ヶ月、直接お目にかかった方々には個別にお伝えしましたが、これまでACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)を支えてきてくださった方々にあらためて報告させていただきます。なお、最終出社はすでに6月30日(火)で終えており、この一ヶ月は10年の間にたまった有給を消化していました。

これまで、

・ACADEMIC RESOURCE GUIDE - ヘルプ
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/help.html

に書かれている「1999年5月〜:インターネット関連企業。データベースの編集、新規サービスの企画・運用、サービス作成のガイドライン策定など。」を何だろうと思った方、岡本はどのように生計を立てているのだろうと思った方も多いかと思いますが、上記のような次第です。

Yahoo! JAPANには、ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)を1998年7月に創刊した後の1999年5月に入社しました。以来、検索系のサービスを主として担当しました。前半の5年間は、主にサーファーとして、

Yahoo!カテゴリ
http://dir.yahoo.co.jp/

の編集に、後半の5年間はウェブプロデューサーとして、

Yahoo!検索
http://search.yahoo.co.jp/
Yahoo!知恵袋
http://chiebukuro.yahoo.co.jp/
Yahoo!検索ランキング
http://searchranking.yahoo.co.jp/
Yahoo!検索 スタッフブログ
http://searchblog.yahoo.co.jp/
Yahoo!百科事典
http://100.yahoo.co.jp/
Yahoo!ラボ
http://labs.yahoo.co.jp/

等の企画・設計・運用に従事しました。この間、公私両面に渡り、お世話になった方々、また私の勤務先をご存知であっても、そのこととACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)の活動を結びつけないでくださった方々に心から御礼申し上げます。

Yahoo! JAPANの岡本としての思いは、

・「Yahoo! JAPANのものつくり−一つでも多くの「マジックモーメント」を求めて」(Yahoo!検索 スタッフブログ、2009-06-30)
http://searchblog.yahoo.co.jp/2009/06/yahoo_japan_2.html

につづりましたので、ここではより私的な思いを述べておきたいと思います。なお、これまで通り、ここでの私の発言はYahoo! JAPANや、その関連企業、お取引先とは一切関係ありません。あくまで私個人の立場によるものであること、ご了解ください。

在職中の思い出は多々ありますが、嬉しかったことは、やはり自分が初代の担当として、まったくのゼロから企画・設計した

Yahoo!知恵袋
http://chiebukuro.yahoo.co.jp/

が、いまやYahoo! JAPANばかりか、日本有数のサービスに成長したことです。ここまで来たのは、もちろん利用してくださるお客様の存在があってのことですが、同時にすべてが手探りであった最初期から現在の発展期に至るまで、苦難を共にしてくれたすばらしい仲間たちに恵まれたためでしょう。数え切れないくらいの仲間たちに心から感謝しています。これは決して社交辞令ではなく、心の底からの言葉です。ありがとうございました。

なお、これも結びつけられて語られては困るので、申し添えておきますが、ここ数日話題となっているYahoo! Inc.とMicrosoft Corporation.との連携は、私の退職とはまったく関係がなく、この連携を受けての退職ということではありません。あらぬ誤解なきようお願いします。

退職を決めた日から、退職日にはここに何かを記そうと考え、以来あれこれと考えてきたのですが、万感迫るものがあり、筆が進みません……。ただこれだけを記しておきたいと思います。

私は26歳少し手前の25歳の頃に、苦労して入った出版業界に見切りをつけ、インターネットの世界に飛び込み、そこでYahoo! JAPANに拾ってもらいました。キャリアと呼べるようなものの一つもない私に何かを見出してくださり、その後も常に好き放題にやってきた私を懐深く受け入れ続けてくれたYahoo! JAPANという会社と、その会社を形作っている役員・社員たちに、やはり心から感謝しています。本当にありがとうございました。お客様からお叱りをいただくこともあるYahoo! JAPANですが、叱責は期待の裏返しという部分もあり、そのような企業で10年もの間、働き続けることができたことを本当に光栄に思っています。ありがとう、Yahoo! JAPAN。私の好きな映画の一つのタイトルではないけれど、「きっと忘れない(I'll Remember)」。本当にありがとう。

さて、最後は「広げよう、インターネットの学術利用」をビジョンとして掲げるACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)らしく、Yahoo! JAPANにおける私の学術的成果を列記しておきます。

講演・講義としては、

  1. 第3回情報知財フォーラム「コンテンツ・アーカイブ知財
  2. 横浜国立大学情報メディアコロキウム
  3. データベースとWeb情報システムに関するシンポジウム(DBWeb2005)
  4. 第107回コンピュータ産業研究会
  5. 第2回文科省・知的資産のための技術基盤シンポジウム
  6. 横浜国立大学情報メディアコロキウム
  7. 2006年度ヤフー株式会社寄附講座「WEB検索技術---−検索技術と情報ビジネスの最先端」
  8. 魅力ある大学院教育イニシアティブ「社会との協創による情報システムデザイン」関西大学ウェブ広告勉強会
  9. 東京大学コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム第1回メディアコンテンツサイエンスカフェ
  10. 龍谷大学理工学部情報メディア学科「情報産業論」
    • 演題:「『情報産業』としての検索エンジン−その過去・現在・未来」
    • 日時:2007-10-19(Fri)
    • 場所:龍谷大学瀬田学舎
  11. 2007年度東京大学メディアコンテンツに関する学部横断型教育プログラム メディアコンテンツ特別講義I「インターネットポータルビジネスの現状と未来」
  12. 2007年度東京大学メディアコンテンツに関する学部横断型教育プログラム メディアコンテンツ特別講義I「インターネットポータルビジネスの現状と未来」
  13. 2008年度早稲田大学ヤフー株式会社提携講座「ウェブ検索技術」
  14. 2008年度東京大学メディアコンテンツに関する学部横断型教育プログラム メディアコンテンツ特別講義I「インターネットポータルビジネスの現状と未来」
  15. 2008年度東京工業大学講義「数理・計算科学特論第四」
    • 演題:「ウェブプロデュース論」
    • 日時:2008-10-15(Wed)
    • 場所:東京工業大学 大岡山キャンパス
  16. 2008年度兵庫県立大学講義「情報科学概論」
  17. 2008年度埼玉大学講義「文化経済特論・比較経営論」
    • 演題:「ウェブにおけるコンテンツビジネスの現状と課題−既存コンテンツの利用とCGMによるコンテンツ創出の経験から」
    • 日時:2008-10-22(Wed)
    • 場所:埼玉大学東京ステーションカレッジ
  18. 第1回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2009)BoFセッション
  19. セマンティックWebコンファレンス2009


研究発表としては、

  1. 「知識共有コミュニティを創り出す人たち」
  2. 「知識共有コミュニティを創り出す人たち(2):「質問タイプ」から見た参加行動」
  3. 「知識共有コミュニティを創り出す人たち(3):「回答者」データから見るコミュニティ内の「知識」」
  4. 「知識共有コミュニティを創り出す人たち(4):形態素解析による「知識」の分析」」
  5. 「ホントはしたい人助け---〜知識共有コミュニティ「Yahoo!知恵袋」にみる、インターネット上の利他的行動」
  6. People Who Create Knowledge Sharing Communities, New Frontiers in Artificial Intelligence (Lecture Notes in Computer Science)
  7. 文部科学省科学研究費特定領域研究「日本語コーパス」平成18年度公開ワークショップ(研究成果報告会)
  8. 平成19年度国立情報学研究所オープンハウス
  9. 「知識共有コミュニティを創り出す人たち(5):継続的/積極的参加者の特徴」(2007-09-22)
  10. 「チエブクロのなかみ−知識共有コミュニティ「Yahoo!知恵袋」に集約されるデータとは何か」(2007-11-30)
  11. データベースとWeb情報システムに関するシンポジウム(DBWeb2007) 産学連携企画ポスター
  12. 平成20年度国立情報学研究所オープンハウス
  13. 文部科学省科学研究費特定領域研究「日本語コーパス」平成20年度公開ワークショップ(研究成果報告会)


執筆としては、

  1. 「Web研究の深化からWeb環境の発展へ−Yahoo! JAPANが日本語コーパスへデータを提供した理由」(ことばパティオ、2008-08-08
  2. 「産学連携の新たな形を夢見て」(「知能と情報」21-2、2009-02)


社会的活動としては、

  1. デジタル資産活用戦略会議ウェブ情報利活用ワーキンググループ構成員(2004年〜2005年)
  2. 特定領域研究「代表性を有する大規模日本語書き言葉コーパスの構築:21世紀の日本語研究の基盤整備」(日本語コーパス)総括班協力者(2006年〜)
  3. 情報処理学会データベースシステム研究会運営委員(2007年度〜)
  4. データベースとWeb情報システムに関するシンポジウム(DBWeb2007)シンポ ジウム実行委員・プログラム委員
  5. 京都大学ICT連携推進ネットワーク会員
  6. 早稲田大学非常勤講師(2006年度、2008年度)
  7. 京都大学非常勤研究員(情報学研究科・産官学連携)(2008年度〜)
  8. 情報社会学会「知識共有コミュニティワークショップ−インターネット上の知識検索サービス研究」プログラム・実行委員(2008年度)
  9. 財団法人国際高等研究所 2008年度研究プロジェクト「次世代情報サーチに関する総合的研究」研究員
  10. Webとデータベースに関するフォーラム (WebDB Forum 2008)実行委員・プログラム委員
  11. 平成20年度厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)「ネット世代の自殺関連行動と予防のあり方に関する研究」研究分担者


産学連携(企業から研究へのデータ提供協力)としては、

  1. 国立情報学研究所(NII)への「Yahoo!知恵袋」データ(Yahoo!知恵袋コーパス)の提供
  2. 国立国語研究所への「Yahoo!知恵袋」データ(Yahoo!知恵袋コーパス)の提供
  3. 文部科学省科学研究費特定領域研究「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」(情報爆発プロジェクト)への「Yahoo!検索」検索語データの提供

があります(リンク切れがあればご容赦を)。研究職ではない、ウェブプロデューサーの私にこのような活動を許してくださった方々にもあらためて感謝したい。なお、この分野の取り組みは、ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)の活動として、今後さらに力を入れていきます。

今後の私自身の身の振り方は8月以降、ここに記します。

お読みいただきありがとうございました。感謝を込めて。