2009-08-27(Thu): なぜ、岩波書店は長尾真著『電子図書館』(岩波書店、1994年)を復刊しないのだろうか
素朴な疑問でもあり、こういう現状をみると、出版社や編集者が現実に能力を失いつつあることを実感もするのだが、なぜ、岩波書店は長尾真著『電子図書館』(岩波書店、1994年)を復刊しないのだろうか。
長尾真さんは、言わずと知れた国立国会図書館長であり、先のARGフォーラムに限らず、いまそのビジョンとスキームで大いに注目されている人物。
長尾さんが書籍のデジタル化を語るのは、別にいまに始まったことではない。すでに15年前に『電子図書館』という本を岩波書店から刊行しているのだが、残念ながら「品切重版未定」という状態が続いている。
・長尾真著『電子図書館』(岩波書店、1994年)
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/7/0065150.html
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000065157/arg-22/
ここで疑問なのが、なぜ、岩波書店はこの本を復刊しないのか、ということ。
・書物復権2009 8社共同復刊XIII
http://www.kinokuniya.co.jp/01f/fukken/
といった事業を続けているにも関わらず、『電子図書館』は対象となっていない。いまなら、いやいまこそ、復刊すれば大いに売れるだろうに……。看板雑誌である『思想』1022(2009年6月号)では、
- 福井健策「「グーグル裁判」の波紋と本の未来」
- 宮下志朗「作者の権利、読者の権利、そして複製の権利」
- 長谷川一〈書物〉の不自由さについて−〈カード〉の時代における人文知と物質性」
- 高宮利行「書物のデジタル化−グーテンベルクからグーグルへ ダーントン論文への重ね書き」
- ロバート・ダーントン「グーグルと書物の未来」
を掲載しており、書籍のデジタル化やウェブ公開に関心がないわけでは、ないのだろう。
・『思想』1022(2009年6月号)
http://www.iwanami.co.jp/shiso/1022/shiso.html
きっと、いま復刊に向けて準備中であり、近いうちに、
・岩波書店 - 今月の復刊
http://www.iwanami.co.jp/fukkan/
に、長尾真著『電子図書館』が登場するものと信じたい。