2009-09-15(Tue): ジャンヌネーさん(前フランス国立図書館長)のお話を聞く

今週はひたすら図書館関係の仕事が続く。今日は、

2009-09-15(Wed):
ジャンヌネー前フランス国立図書館長による講演と対談「インターネットと文化:チャンスか危機か」
(於・東京都/国立国会図書館 東京本館)
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/jnjlecture.html

へ。国立国会図書館の方のお心遣いで報道として聴講させていただいた。なによりも電源が確保できたのがありがたい。

報道枠で入れていただいたからにはと、Twitterで実況中継してみたのだが、実況するということが、そもそも難しい上に、ジャンヌネーさんのご講演は、随所に名言・警句の引用を含むもので、あまりいい実況はできなかったと思っている。が、地方在住で明後日の

2009-09-17(Thu):
ジャンヌネー前フランス国立図書館長による講演「インターネットと文化:チャンスか危機か」
(於・京都府国立国会図書館 関西館)
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/jnjlecture.html

に参加できない方々がいることを思えば、多少はお役にたっただろうか。


内容は大筋、

Googleとの闘い―文化の多様性を守るために
・『Googleとの闘い−文化の多様性を守るために』(ジャン・ノエル・ジャンヌネー著、佐々木勉訳、岩波書店、2007年、1680円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000226177/arg-22/

に準拠したものだったが、つい先日報道されたフランス国立図書館Googleの間で交渉がもたれた件についてのコメント等、新たな見解も追加されていた。

・「ジャン・ノエル・ジャンヌネー著『Googleとの闘い』」(編集日誌、2008-01-13)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080115/1200368837

以下は幾つか気になった指摘や主張を自分のメモとして。

Googleに対するフランスの出版社の対応を、

  1. 不安を抱いているが、なにもしていない出版社
  2. Googleとの連携を打ち出す出版社
  3. Googleと断固闘う出版社

と3分類し、1番目の不安を抱いているが、なにもしていない出版社は決して多くはない、と断言していたのが印象的だった。日本ではどうだろうか。

もう一つ、重要なのが、技術の進歩は明確に肯定し、同時にその技術の革新を実現したGoogleへの敬意を保っていることは素晴らしい。安易な反Google論に堕しては、この種の議論は支持されない。ジャンヌネーさんの内心は知るべくもないが、少なくとも対外的な姿勢のあり方としては極めて賢明だ。

歯切れのいい言葉で自らのスタンスを語っていたジャンヌネーさんだが、一点だけ私にはクリアーに感じられなかったのが、書籍の整理や分類について、キーワード検索とは異なるアプローチ、特にツリー構造のような方法が必要という点。概念的には理解できるのだが、具体的なイメージがまだ湧いてこない。もっともこれは、ジャンヌネーさんに依存することではないだろう。それぞれの文化に応じて、我々が考えるべきことなのだから。