2009-11-19(Thu): WebDB Forum 2009開催1日目−「BaiduとNaverが語る 国内シェアNo.1を実現する技術戦略」と「日本のデジタルライブラリプロジェクト最前線」、そしてサイバーエージェントの研究・開発重視姿勢のこと
実行委員として、またスポンサーとして関わってきた
2009-11-19(Thu)〜2009-11-20(Fri):
Webとデータベースに関するフォーラム2009(WebDB Forum 2009)
(於・神奈川県/慶應義塾大学 日吉キャンパス)
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/
が開幕。
午前中は登壇交渉にあたった特別セッション1「BaiduとNaverが語る 国内シェアNo.1を実現する技術戦略」が開催された。
・特別セッション1「BaiduとNaverが語る 国内シェアNo.1を実現する技術戦略」
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/special.html#s1
実行委員として裏方仕事に走り回っていたので、実はご講演を満足に聴くことができなかったので、詳細は以下の記事を参照。
・「渦巻き絵文字は「台風」ではなく「まいった」、バイドゥが調査」(INTERNET Watch、2009-11-20)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/event/webdb2009/20091120_330426.htm
個人的には前職のYahoo! JAPAN時代の上司であった井上俊一さん(バイドゥ株式会社 代表取締役社長)にご講演いただけたことが感慨深い。また、検索エンジンを語る場ではあまり登場されることがない森川亮さん(ネイバージャパン株式会社 代表取締役)にご登壇いただけたことも良かった。なによりも、この両者の組み合わせは、史上初のことであり、セッションオーガナイザー的な役割を果たした者としては冥利に尽きる。
お昼は運営委員会に参加し、その後、技術報告セッション1「Web情報処理」で座長を務めた。
・技術報告セッション1「Web情報処理
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/program.html#tech_papers1
担当セッションでの発表は以下の通り。
- 岩淵志学、平手勇宇、森正弥(楽天)「楽天技術研究所の取り組み」
- 木俵豊、鳥澤健太郎、隅田英一郎、中村哲(NICT)「NICT知識創成コミュニケーション研究センターの研究と高度言語情報融合フォーラム(ALAGIN)の活動について」
- 大平哲也、服部司、佐藤真人(サイバーエージェント)「AmebaにおけるCGMデータ解析の現場」
いずれのご発表も興味深く、座長自身が最も質問したかった。実際、サイバーエージェントの大平さん、服部さんのご報告には、コメントさせていただいたのだが、念のため書き添えておくと、聴衆の多くにとっては、サイバーエージェントと言えば、ネット広告を主業務とした広告代理店的な側面の強いウェブ企業という印象だろうが、ここ2、3年で急速に研究・開発に積極的に投資する企業へと変貌していることを指摘したかった。
事実、近年のサイバーエージェントの研究・開発への傾斜には著しいものがある。
・Ameba Labs(アメーバラボ)
http://labs.ameba.jp/
を公開や、大平さんの話でもふれられたいた新規開発局にエンジニアを集約する体制の構築、そして2009年1月のインキュベーションラボラトリーの開設と矢継ぎ早に手立てを講じている。
・インキュベーションラボラトリー
http://nd-ilab.jp/
今回の技術報告にあたっては、プレスリリースも配信しており、その本気度がうかがえる。
・「「サイバーエージェントの研究開発組織「インキュベーションラボラトリー」が「Ameba」を中心としたCGMデータ解析の研究成果を発表」」(サイバーエージェント、2009-11-18)
http://www.cyberagent.co.jp/news/press/2009/1118_2.html
そして、なによりも素晴らしいのが、学術研究という場への参画の姿勢だと思う。早速、大平さんが自らのブログで本日の報告資料を公開している。
・「WebDB Forum 2009 で発表させていただきました」(社内NEET宣言、2009-11-19)
http://ameblo.jp/just-do-neet/entry-10392241271.html
私の知る限り、たいがいのウェブ企業は学会発表の資料を公開することには二の足を踏むし、仮に公開しようとしても社内に様々な制約があるものだ。そういった関門を越えていくところに、サイバーエージェントの本気を感じる。また、報告の中でも(資料参照)、「機会があれば、Web上でデータを公開をしたい」「今後はデータ提供含め学術的な場へのフィードバックも行っていきたい」というコメントがあり、学術研究用途でのデータ公開の促進と共有財化に力を入れたい私としては、心から嬉しい内容だった。
その後、夕方はさらに特別セッション2「日本のデジタルライブラリプロジェクト最前線」で司会を務めた。
・特別セッション2「日本のデジタルライブラリプロジェクト最前線」
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/special.html#s2
登壇者は、長尾真さん(国立国会図書館)と大向一輝さん(国立情報学研究所)。それぞれ、「大規模ディジタル情報とその処理技術」「学術ウェブをつくる−CiNiiのいま、これから」と題してお話いただいた。
ここ数年の自分の最大の関心事の一つに、ライブラリーサイエンスとコンピューターサイエンスが出会う場をつくることがあるのだが、まさにその現場で2つの科学の接点にいるお二人のご講演をコーディネートし、かつ司会までさせていただけたことは光栄の一語に尽きる。
夜は、ポスター発表と懇親会を兼ねたポスターレセプション。
・ポスターレセプション
http://db-event.jpn.org/webdbf2009/program.html#poster
こちらも大盛況だったが、特に昨年初めてご協賛いただき、今年から本格的にポスターレセプションに参加したミクシィのブースに行列ができていたのがありがたかった。企業が、特に大きな企業が学術研究の場に関わることの難しさは、Yahoo! JAPAN在籍時に自分自身が関わっていただけによくわかっているつもりだが、サイバーエージェントとミクシィの本格的な登場は、日本の情報工学研究の世界に良い変化を与えてくれるのではないだろうか。期待を込めつつ。
・「2つのスポンサー−11月18日(水)開催のDESIGN IT! Conference 2009と、11月19日(木)、20日(金)開催のWebDB Forum 2009」(編集日誌、2009-11-15)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091115/1258286967