2009-11-27(Fri): 2009年度第57回大阪公共図書館大会で講演

・「11月27日(金)の2009年度第57回大阪公共図書館大会で講演の予定」(編集日誌、2009-10-30)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091101/1257085194

で記していたように、

今日は、

2009-11-27(Fri):
2009年度第57回大阪公共図書館大会「ホームページから広がる図書館サービス」
(於・大阪府大阪市立中央図書館)

で「ツナガリを生かし、ツナガリを生み出す図書館サイトへ−ソーシャル系サービスの活用と人の働きを考える」と題して講演。

・「ツナガリを生かし、ツナガリを生み出す図書館サイトへ−ソーシャル系サービスの活用と人の働きを考える」
http://www.slideshare.net/arg_editor/ola20091127

午後は、

・六倉秀樹(芦屋市立図書館)「ホームページから書庫が見えれば−手作りすることの意味」
・森山光良(岡山県立図書館)「ネットワークとユーザ参加による図書館サービス−『デジタル岡山大百科』の取組み」
・佐久間大輔(大阪市立自然史博物館)「カオナシからの脱却−担い手とユーザの顔が浮かぶ博物館へ」

という3つの事例報告をうかがった。

・芦屋市立図書館
http://www.ashiya-city-library.jp/
岡山県立図書館
http://www.libnet.pref.okayama.jp/
大阪市立自然史博物館
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/

期待していた通り、いや期待以上の学びの機会となった。

以下はメモとして。

六倉秀樹さん(芦屋市立図書館)のお話。

・ホームページから書庫が見えれば−手作りすることの意味!
http://www.ashiya-city-library.jp/jireihoukoku01.html

以前に芦屋市立図書館の館長を務めていた前田文也さんとの二人三脚で、どのように芦屋市立図書館のサイトを築き上げてきたかがよくわかった。

特に衝撃的だったのは、

兵庫県内の公立図書館のホームページの斬新なアイデアを生み出す会
http://hyogo-library.netfirms.com/index2.html

という活動があったこと。いまこそあらためてこういった催しが必要なのかもしれない。

報告の中で、

・原作は同じ、題名の違う本
http://www.ashiya-city-library.jp/fair21.html

にふれていたが、先日話題になった福井県立図書館の

・覚え違いタイトル集
http://www.library.pref.fukui.jp/reference/mosikasite.html
・「「さんまのおふだ」って? 覚え違い書籍タイトル集」(ITmedia News、2009-08-17)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0908/17/news081.html

と同様、こういった知識はうまく集積できないものだろうか。

その他、

筑波大学公開講座電子図書館(資料の電子化)が終わり、電子図書館(本格的なサービス)が始まる」
http://hyogo-library.netfirms.com/tukuba/
・芦屋から
http://www5b.biglobe.ne.jp/~bun-bun/

等、多くの知見をいただいた。

森山光良さん(岡山県立図書館)のお話。

・デジタル岡山大百科
http://www.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/

いま、地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関する調査検討会の座長代理を務めていることもあって、ふむふむと聴き入った。

・「地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関する調査検討会の第1回会合&WOMマーケティング協議会の勉強会へ」(編集日誌、2009-10-26)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091101/1257085198

デジタル岡山大百科のコンテンツについて、具体的にふれながらのお話だったが、中でも、

カバヤ児童文庫
http://www.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/kyodo/kabaya/bunko/
・想いでの学び舎(ラジコンヘリによる空撮記録)
http://djv.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/kyodo/kenmin/omoidenomanabiya/gakko-top.htm
西大寺鉄道
http://djv.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/kyodo/kenmin/saitetu/saitetu-index.htm

はまさに地域のコンテンツとして素晴らしかった。地域資料の収集は公共図書館の本来的な役割の一つと思うが、まだまだ現実には紙の資料に留まっている印象がある。それに対して、岡山県立図書館の取り組みはやはり突出していることをあらためて痛感した。来月に予定されている地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関する調査検討会の第2回会合に向けて、非常に勉強になった。

カバヤ歴史館 - カバヤ文庫
http://www.kabaya.co.jp/histo_book.html
西大寺鉄道
http://keben.100th.jp/

最後は、佐久間大輔さん(大阪市立自然史博物館)。

・THE BASEMENT
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/sakuma/sakuma-index.html

ちなみに佐久間さんには、

・「博物館コミュニティとインターネット」(第071号、2000-07-26)
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/071.html

を寄稿していただいたことがある。

カオナシからの脱却−担い手とユーザの顔が浮かぶ博物館へ」と題したお話は、大阪市立自然史博物館がウェブに留まらない博物館コミュニティーをつくりあげてきた一端を担ってきた方の話だけあって、これまた非常に示唆に富んでいた。

特に印象的だったのは、

・「図書館のFAQ」(D's Basement supplement、2009-11-24)
http://blog.livedoor.jp/sakumad2003/archives/50940425.html

でもふれられているレファレンスのあり方に関するコメントだ。国立国会図書館が運営するレファレンス協同データベースに掲載されている

・松露(ショウロ)というキノコを採集するため、探し方を知りたい。
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000040085

を題材にして、図書館におけるの危うさを指摘しつつ、関係機関の連携で広がる可能性を示していたと思う。会場からTwitterでもつぶやいたのだが、次回のレファレンス協同データベースのフォーラムには、佐久間さんのような図書館外の専門家をお招きして、レファレンス事例について、専門的な知見からのコメントをお願いするとよいのではないだろうか。たとえば、博物館や科学館、美術館、動物観や水族館といった施設にいる専門家との連携を軸にしてみると、双方に新たな発見があるように思う。

ちなみに、上記のレファレンス事例は今回会場となった大阪市立中央図書館によるものだが、開催の数日後には改訂されている。迅速な対応をとった大阪市立中央図書館も素晴らしい。Library of the Year 2009の大賞受賞は伊達ではない。

・「図書館総合展3日目−図書館グッズフォーラム、Library of the Year 2009最終選考会、第6回ARGカフェ&ARGフェスト@横浜」(編集日誌、2009-11-12)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091115/1258283484

なお、大阪市立自然史博物館では、市民からの質問を受け付けており、そのやりとりを公開している。レファレンスとの違いを考える材料になるだろう。

大阪市立自然史博物館 - 質問コーナー 質問への答えと読者からのコメント
http://www3.mus-nh.city.osaka.jp/scripts/faqbbs.exe

もう一つ、佐久間さんのお話で出た博物館における市民トレーニングの機能にも感心した。プロフェッショナルである学芸員がアマチュアの市民をトレーニングしていくことが重要であり、たとえば大阪市立自然史博物館では、学芸員による手ほどきを受けつつ、一人の市民が研究報告を行うまでになっているという。

田中久美子・佐久間大輔「大阪府河内長野市で採集された変形菌類とその子実体発生の季節性」(「大阪市立自然史博物館研究報告」58、2004)
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/publication/bulletin/html/58/58-004.html

さて、図書館ではどうだろうか。

1日の長丁場の大会であったが、自分自身大いに勉強になり、刺激を受けた。開催に向けて尽力してくださった大阪の図書館業界の方々、そして会場を提供してくださった大阪市立中央図書館の方々に感謝したい。

なお、終了後、大阪市立中央図書館を見学したのだが、その話は別の場所で記事にする予定。

・「2009年度 第57回 大阪公共図書館大会(091127)」(ぺえぺえ魂 / 谷航のブログ、2009-11-28)
http://d.hatena.ne.jp/taniwataru/20091128/1259387591
・「他流試合」(D's Basement supplement、2009-11-29)
http://blog.livedoor.jp/sakumad2003/archives/50943178.html