2010-03-16(Tue): 地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関する調査検討会の終了と、地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関するフォーラムの開催

昨年10月に始まった地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関する調査検討会が本日で終了となった。座長の清木康さん(慶應義塾大学)から総務省関東総合通信局への報告書を提出もって、6ヶ月に及んだ検討会も無事終了。

さて、その後、デジタル情報資源ラウンドテーブル本会議や公共図書館におけるデジタルアーカイブ推進会議、さらには総務省による書デジ計画等が動き出し、若干かすんでしまったところもあるこの調査検討会だが、自分としては今後の動きに対して様々な点で先鞭となるところがあると思う。特に、市民参加型による写真のデジタルアーカイブである

・みんなでつくる 横濱写真アルバム
http://www.yokohama-album.jp/

と、旅行関係の口コミサイトとして定評のある

・フォートラベル
http://4travel.jp/

が連携し、

・フォートラベル - 写真で見る横濱の歴史
http://4travel.jp/sp/yokohama-album/?year=1926
・フォートラベル - レンズから見えるハマの歴史と街の息遣い
http://4travel.jp/domestic/area/kanto/kanagawa/article/
・「「みんなでつくる横濱写真アルバム」とコンテンツ連携」(フォートラベル、2020-01-21)
http://4travel.jp/aboutus/pressroom/press/20100121-2_press.html

という実証実験ができたことは大きい。デジタルアーカイブが商用のサービスと連携したのは、おそらく日本初めてのことだろう。

また、検討会の意義として、

  1. 情報工学の専門家、実務家を多く含んでいたこと
  2. 地域の関係者を含めたこと(ヒアリングを含め)
  3. 情報社会学や都市計画の専門家を含んでいたこと

があると思う。この種の会議と言えば、デジタルアーカイブの専門家・実務家だけに偏りがちである。一歩踏み込んで言えば、だからこそ、これまでデジタルアーカイブが著しい発展をとげるところまでいかないのだとも思う。その意味で、この大胆なメンバー構成を実現した総務省関東総合通信局を評価したい。

さて、この種の委員会や報告書の課題は、実際に使われるようになるかだ。一連の検討会でもこの点を重視し、最終的にはA3見開き両面印刷で使える、つまりA4で4枚程度に圧縮できるコンパクトさを追求したが、それがまずまず実現はしている。後は普及がカギだろう。後に続く一連の動きがこの報告書をただ通り過ぎることがないように願いたいし、そうならないような取り組みも続けたい。

ということで、検討会の報告も兼ねた

2010-03-30(Tue):
地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関するフォーラム「地域の歴史・文化を伝承する新たな仕組みをめざして」
(於・神奈川県/横浜市技能文化会館)
http://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/if/press/p21/p2203/p220308f.html

が開催される。

主なプログラムは以下の通り。

  • 基調講演
  • 成果報告
  • パネルディスカッション「持続可能な地域住民参加型デジタルアーカイブの構築について」
    • コーディネーター:岡本真
    • パネリスト:
      • 折田明子(中央大学
      • 野田臣吾(フォートラベル)
      • 杉浦裕樹(横浜コミュニティデザイン・ラボ)
      • 丸山高弘(地域資料デジタル化研究会)

年度末の平日開催で恐縮だが、ぜひお越しいただきたい。

・「地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関する調査検討会」(編集日誌、2009-10-25)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091026/1256487183
・「地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関する調査検討会の第1回会合&WOMマーケティング協議会の勉強会へ」(編集日誌、2009-10-26)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091101/1257085198
・「地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関する調査検討会の第2回会合に出席し、関内エリアマネジメント研究会で報告」(編集日誌、2009-12-14)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20091216/1260945545
・「地域住民参加型デジタルアーカイブの推進に関する調査検討会の第3回会合に出席」(編集日誌、2010-01-22)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20100125/1264426892