2008-12-13(Sat): 「総合学術辞典」計画とは?

2008-12-20(Sat):
2008年日本認知科学会冬のシンポジウム「Web時代の学会の役割:総合学術辞典はいかにしてWikipediaを越えるか」
(於・東京都/産業技術総合研究所 臨海副都心センター)
http://www.jcss.gr.jp/symposium2008.html

という催しを知ったのだが、ほとんど情報がない。シンポジウムの案内には、

認知科学会の「認知科学辞典」をWebで公開する計画および情報処理学会の「情報処理ハンドブック」の次世代版を編纂する計画に端を発して、「総合学術辞典(仮称)」の構想が具体化しつつあります。

と記されているのみだが、いったいどのような計画が進んでいるのだろうか。

認知科学辞典
デジタル認知科学辞典

認知科学辞典は2002年に書籍版が、2004年にはCD-ROM版が刊行されており、サポートページも公開されている。

・日本認知科学会編『認知科学辞典』(共立出版、2002年、36750円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/432009445X/arg-22/
・日本認知科学会編『デジタル認知科学辞典(共立出版、2004年、12600円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4320121058/arg-22/
・『デジタル認知科学辞典』サポートページ
http://www.nagao.nuie.nagoya-u.ac.jp/csdic-cdrom/

また、刊行については、

松原仁認知科学辞典の顛末」(『認知科学』9-4、2002年)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/9/4/9_471/_article/-char/ja/
長尾確「デジタル認知科学辞典」(『認知科学』10-2、2003年)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/10/2/10_191/_article/-char/ja/

が書かれている。さらに、書籍版とCD-ROM版の刊行の間の2003年には、日本認知科学会20回大会で、

・「認知科学オントロジー」ワークショップ【PDF】
http://www.kyoritsu-pub.co.jp/shinkan/200306ws.pdf

が開催されたようだ。上の文章には、

認知科学辞典」(日本認知科学会、2002)をオンライン化し、認知科学会を中心とするコミュニティにおいてこれを「認知科学オントロジー」として共同で永続的に改良・拡張する活動を、本学会の創立20周年記念事業の一環として行なうことにした。

とあり、創立20周年の記念事業として取り組まれていることがわかる。その後も「認知科学」12-1(2005年)で「認知科学オントロジー」が特集され、

が掲載されている。

・「認知科学」12-1(2005年)
http://www.jcss.gr.jp/journal/vol12/1201.html

また、

認知科学オントロジー
http://homepage3.nifty.com/hiway/csontology/

2004年にも公開されている。

しかし、残念ながら、総合学術辞典については詳しいことは皆目わからない。あいにく2008年日本認知科学会冬のシンポジウム「Web時代の学会の役割:総合学術辞典はいかにしてWikipediaを越えるか」が開催される12月20日(土)は別件で姫路に行かねばならず、参加できない……。総合学術辞典について詳しいことをご存知の方がいれば、ぜひご教示を。

2008-12-12(Fri): ライブラリアンの紹介記事を継続的に蓄積してみてはどうだろう

今日の日本経済新聞朝刊の文化面に「日本の発展 蔵書は語る 米コロンビア大図書館で収集・分類一筋64年」という記事が掲載され、そこで戦中からコロンビア大学でライブラリアンとして働いてきた甲斐美和さんが紹介されている。甲斐さんについては、

・Miwa Kai - WikiCU, the Columbia University wiki encyclopedia
http://www.wikicu.com/Miwa_Kai

が詳しい。また、

・「早稲田大学創立125周年記念シンポジウム:角田柳作−日米の架け橋となった“Sensei”」開催報告 - 角田先生の思い出
http://www.wul.waseda.ac.jp/TENJI/tsunoda_symposium/kai/kai01.html

では、角田柳作の思い出を語っている。

・「早稲田大学図書館、角田柳作WEB展を公開(2007-10-31)」(新着・新発見リソース、2007-12-30)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20071230/1199024133

甲斐さんの人生は興味深いことこの上ないのだが、ここでは別のことを考えたい。社会的に憧れられるようなライブラリアンのロールモデルを確立していくことが必要だと常々思い、方々で話もしている。それはもちろん幅允孝さんのように「情熱大陸」で取り上げられるような方がいればよいが、まずはそこまで狙うこともない。

・「ブックディレクターという仕事」(編集日誌、2008-11-06)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20081110/1226243774

ただ、今回の甲斐さんのように各種メディアでライブラリアンが登場した際、きちんと記録しておくとよいのではないだろうか。いや、私自身がそこまでするつもりはないのだが、ライブラリアンの待遇・地位向上に関心のある方、特に切実な問題と感じている当事者はやってみてはどうだろう。こういう話を出すと、それは日本図書館協会がやるべき仕事だと思うライブラリアンもいるだろう。気持ちはわかる。正論でもある。でも、そこでまずは自分が動き出してみることが、地位や待遇の向上につながっていくのではないだろうか? どなたかぜひご検討を。