2007-04-03(Tue): JESIIIの公開

政治のリアリティと社会心理―平成小泉政治のダイナミックス (シリーズ 21世紀初頭日本人の選挙行動)

今年の2月に池田謙一さんの新著『政治のリアリティと社会心理−平成小泉政治のダイナミックス』(木鐸社、2007年)を紹介したが、この本で用いられたデータが公開された。

・『政治のリアリティと社会心理:平成小泉政治のダイナミックス』(池田謙一編著、木鐸社、2007年、4200円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4833223848/arg-22/
・池田謙一さん
http://www-socpsy.l.u-tokyo.ac.jp/ikeda/

公開されたデータは、「21世紀初頭の投票行動の全国的・時系列的調査研究(JESIII SSJDA版),2001-2005」といい、東京大学社会科学研究所SSJデータアーカイブから利用できる。

・「21世紀初頭の投票行動の全国的・時系列的調査研究(JESIII SSJDA版),2001-2005」
http://ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp/gaiyo/0530g.html
・SSJデータアーカイブ
http://ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp/

略称である「JES」は「Japanese Election Study」を意味し、IIIという数字からわかるように、「Japanese Election Study」はこれまで3回行われている。

  1. JESI - 1983年
  2. JESII - 1993年〜1996年
  3. JESIII - 2001年〜2005年

今回データが公開されたJESIIIは、SSJデータアーカイブの概要説明にあるように、

2001年度、2004年度には参議院選挙の事前・事後の各2調査、2003年度および2005年度には解散を受けた衆議院選挙の事前・事後の各2調査を実施し、さらに2002年度に関しては、統一地方選挙の事前調査を実施した。こうして2001年小泉政権誕生時から2005年の同一政権による2度目の衆議院選挙までの4度の国政選挙全てを通じて、政権の変容と、それが有権者の投票行動に及ぼす効果を緻密にとらえる

という大きな特徴があるようだ。

ちなみにこのデータは、

教員の指導を受けた大学生による利用も可。
教員の指導による教育目的も可。学部生対象の授業でも可(卒論含む)。この場合、利用申請のある授業での利用に限る。

と利用範囲が広く設定されている。そして特筆すべきことに、JESやJESIIのデータはレヴァイアサン・データバンクとして有料で提供されているのに対し、JESIIIのデータは無料で利用できる。SSJデータアーカイブという公共のデータアーカイブが整備され、データが無料で提供されるようになったことは、時代の流れを実感する出来事だ。

・レヴァイアサン・データバンク
http://www.bokutakusha.com/ldb/ldb_databank.html

教員の方々には指導のご苦労もあるだろうが、ぜひせっかくの共有データを活用してほしい。

なお、JESIIについては私の知る限りでは以下のサイトでもデータが公開されている。

・JESII第8波〜第10波調査データ(蒲島郁夫研究室)
http://politics.j.u-tokyo.ac.jp/data/jes2data.html
・JESIIデータ・クリーニング版I(慶應義塾大学21世紀COEプログラム「多文化多世代交差世界の政治社会秩序形成−多文化世界における市民意識の動態」)
http://www.coe-ccc.keio.ac.jp/data/jes2/

また、この種のデータアーカイブの意義については、本誌でも第036号(1999-07-25)に以下の記事を掲載したことがある。

・齋藤淳・飯田修「インターネット上でのデータの公開と共有について」
・小笠原盛浩「個票データ公開の意義と方法」
http://blog.mag2.com/m/log/0000005669/15122328.html
http://blog.mag2.com/m/log/0000005669/15122336.html