2007-04-10(Tue): 私の三冊−岩波文庫創刊80周年記念に寄せて

岩波文庫創刊80周年記念ということで、岩波書店のPR誌「図書」の臨時増刊号が出ている。テーマは「私の三冊」。岩波文庫の中から各界の人物が「今日なお心に残る」「ぜひとも他の人びとに勧めたい」三冊を挙げている。

・図書
http://www.iwanami.co.jp/tosho/
岩波書店
http://www.iwanami.co.jp/

岩波文庫編集部のアンケートは以下の通り。

今までお読みになった岩波文庫のうち、今日なお心に残る書物は何でしょうか、あるいは、ぜひとも他の人びとに勧めたいと思われる書物は何でしょうか。三点選んでご回答ください。あわせて、それぞれの書目に短評をお書き添え願えれば幸いです。

自分だったら、どう答えるだろうか。

・『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎、735円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4003315812/arg-22/
・『学問のすすめ』(福澤諭吉、588円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4003310233/arg-22/
・『三酔人経綸問答』(中江兆民、630円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4003311019/arg-22/

君たちはどう生きるか』は中学卒業のときに恩師からいただいたが、高校生の頃はパラパラと繰ってはみたもののそれっきりになっていた。大学入学後、学生同士で初めて読書会をやった際に課題図書として取り上げたことが思い出される。後に丸山眞男をテーマに卒論に取り組んだ際に巻末に附せられた丸山の解説を繰り返し読み、編集者を志した際には著者の吉野源三郎という人物が編集者としていかに大きな存在であるかを知った。本編のコペル君の話に限らず、著者や解説を含め様々なことを学んだ一冊である。
学問のすすめ』と『三酔人経綸問答』は『福翁自伝』とともに、大学の日本政治思想史の講義で読んだ。自信満々で臨んだレポートはいずれもB。内容を正確に理解する読書が自分にいかに身についていないか、つくづくと思い知った。だが、その中でも嬉しかったのは、受験のための日本史の勉強の中では単語として暗記する対象に過ぎなかった福澤諭吉中江兆民とその著書の世界に深く分け入っていったことだ。