2007-09-16(Sun): 気になる催し−アジ研図書館サテライト展示会「韓国の社史・団体史」(9/19〜)、法と言語研究会第一回研究会(9/21)、先端研20周年記念のセミナー(9/26)とシンポジウム(10/18)

文化の秋ということもあるだろうか、最近立て続けに催しのご案内をいただいたので、紹介しておきたい。

まずは来週から始まる

2007-09-19(Wed)〜2007-10-15(Mon):
第1回アジ研図書館サテライト展示会「韓国の社史・団体史」
(於・東京都/アジ研図書館サテライト)
http://www.ide.go.jp/Japanese/Library/Event/

アジア経済研究所図書館の石崎えり子さんからお知らせいただいた。

・アジア経済研究所図書館
http://www.ide.go.jp/Japanese/Library/

では、1990年代半ばから韓国企業社史の収集を始めており、すでに約600冊の社史・団体史を所蔵しているという。今回の展示会は、普段は業種別に分類しているため別々の書架に置かれているこれらの600冊が一ヶ所に集めるという試み。壮観なことだろう。さて、アジア経済研究所図書館にはせっかくの試みをイベントに終わらせず、たとえば、

・アジア経済研究所図書館 - 発展途上地域地図目録
http://opac.ide.go.jp/map/

と同じように、所蔵する韓国企業社史の目録をサイト上で公開してほしい。そうすれば常時、展示会「韓国の社史・団体史」が開かれているようなものであり、アジア経済研究所図書館のコンテンツも一つ増えることになる。

なお、アジア経済研究所図書館では第2回展示として10月にも次の催しを予定している。

2007-10-01(Mon)〜2007-10-30(Tue):
『1930年代のアフガニスタン、そして現在〜日本人農業技術指導員尾崎三雄氏の収集資料を中心に〜』資料・写真展及び講演会
(於・千葉県/アジア経済研究所図書館)
http://www.ide.go.jp/Japanese/Library/Event/

こちらは昨年2006年7月5日(水)から8月1日(火)にかけて20日間催された

2006-07-05(Wed)〜2007-08-01(Tue):
2006年度第1回アジ研サテライト展示会「若きアフガニスタンの記録」資料・写真展、講演会
(於・東京都/アジ研図書館サテライト)
http://www.ide.go.jp/Japanese/Library/Event/satellite200607.html

を発展させた企画のようだ。

・2006年度第1回アジ研サテライト展示会「若きアフガニスタンの記録」資料・写真展、講演会開催報告
http://www.ide.go.jp/Japanese/Library/Event/satellite200607.html

をみると、なかなかの盛況・好評ぶり。これは自分のためのメモとしてだが、こういう催しの案内をする際は、前年度の様子やアジア経済研究所図書館のサイトにある関連コンテンツを紹介すると、関心をいっそう高められるかもしれない。つまり、

・『1930年代のアフガニスタン、そして現在〜日本人農業技術指導員尾崎三雄氏の収集資料を中心に〜』資料・写真展及び講演会
http://www.ide.go.jp/Japanese/Library/Event/

に、

・2006年度第1回アジ研サテライト展示会「若きアフガニスタンの記録」資料・写真展、講演会開催報告
http://www.ide.go.jp/Japanese/Library/Event/satellite200607.html
・尾崎三雄アフガニスタン資料集−現地調査の記録1935-1938年−(報告書別冊)
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Report/2005_04_29a.html

へのリンクを設けておくということ。

閑話休題。社史については、ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)でもこれまで

・「龍谷大学図書館、長尾文庫Web目録を公開」(新着・新発見リソース、2007-07-01)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070701/1183295579
・「日本経営史研究所、日本電力業史データベースを公開」(新着・新発見リソース、2005-04-24
http://d.hatena.ne.jp/arg/20050424/1134800850
・「実業史研究情報センター、サイトを開設」(新着・新発見リソース、2004-10-10
http://d.hatena.ne.jp/arg/20041010/1136272119

を紹介してきたが、今回一堂に展示される韓国の社史というコレクションはやはり珍しいようだ。国立国会図書館

・テーマ別調べ方案内 - 社史・経済団体史
http://www.ndl.go.jp/jp/data/theme/theme_honbun_102077.html

をみても、類例がない。せっかく都心で行われる催しでもあり、ぜひ大勢の方々に訪れてほしい。

なお、社史については日本経団連図書館に長らく勤めた村橋勝子さんによる大著

社史の研究

・『社史の研究』(村橋勝子著、ダイヤモンド社、2002年、5250円)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4478340218/arg-22/

がある。

ジュンク堂書店 - 「社史の研究」(著書を語る359)
http://www.junkudo.co.jp/syohyo4-0204.htm


次は堀田秀吾さん(立命館大学)からいただいたご案内。設立されたばかりの法と言語研究会の第一回研究会が開催されるという。

2007-09-21(Fri):
法と言語研究会第一回研究会
(於・京都府立命館大学衣笠キャンパス創思館)
http://jsll.sakura.ne.jp/

当日は2部構成で第1部は「司法通訳の諸問題」、第2部は「法廷言語コーパス」と題して次の研究報告がある。

司法通訳は読んで字の如し。司法過程での通訳だが、報告でも取り上げられる「ニック・ベイカー事件」など、近年問題が顕在化してきている。報告者の水野真木子さんは、このニック・ベイカー事件で通訳の正確性を検証する鑑定人としての役割を果たした方であり、これまでも各地でこのテーマについて報告されているようだ。ちなみにニック・ベイカー事件については、日本通訳学会が見解を出しており、あわせて司法通訳倫理原則(案)を公開している。

・日本通訳学会 - ニック・ベイカー事件に関する日本通訳学会の見解【PDF】
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jais/html/community/opinion_n_baker.pdf
・日本通訳学会 - 「司法通訳倫理原則(案)」について【PDF】
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jais/html/community/rinri_rev%5b1%5d.2.pdf

また、ニック・ベイカーさんの友人による支援サイトも開設されている。

・Friends of Prisoners in Japan
http://www.justicefornickbaker.org/

法廷言語コーパスは聞きなれない言葉だが、報告者である堀田秀吾さんが在籍する立命館大学では学内資金プロジェクト「法廷言語コーパスの構築」が進められているようだ。コーパスというと、国立国語研究所による日本語の広範なコーパスをこれまで紹介してきているが、

・「国立国語研究所、KOTONOHA「現代日本語書き言葉均衡コーパス」検索デモンストレーションを公開」(新着・新発見リソース、2007-06-27)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070627/1182877097
・「国立国語研究所、代表性を有する大規模日本語書き言葉コーパスの構築:21世紀の日本語研究の基盤整備(日本語コーパス)を公開」(新着・新発見リソース、2006-10-17
http://d.hatena.ne.jp/arg/20061017/1161018876
・「国立国語学研究所、近代女性雑誌コーパスのページを公開」(新着・新発見リソース、2006-09-02
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060902/1157133884
・「国立国語研究所、言語コーパス整備計画「KOTONOHA」のページを公開」(新着・新発見リソース、2006-04-02
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060402/1143942854

ここでいう法廷言語コーパスは法廷で用いられる言葉に注目したさらに特化したコーパスということなのだろう。非常に関心をそそられる。「法廷言語コーパスの構築」は正式には立命館大学学内提案公募型研究推進プログラム基盤的研究「法廷言語コーパスの構築とその応用:裁判制度導入に向けて」というらしく、2007年7月から2008年3月にかけて行われるようだ。まだ始まったばかりの研究プログラムということだが、早速今回の研究会で報告されるのだろう。参加できないのが非常に残念。こういうとき、ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)を事業化して、各地の催しに記者を派遣できるようにしたいと思うのだ。誰のためでもなくまずは自分のために。

ところで、堀田秀吾さんは、長年の交流がある指宿信さん(立命館大学)に今年の1月にお目にかかった際にご紹介いただいた。

・「京都市内各所を訪問」(編集日誌、2007-01-27)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070129/1170024165

以来何度かメールのやりとりをさせていただいてるが、本来の専門は言語学で法学は現在勉強中という。研究会の名前が「法と言語研究会」とあるように、言語学と法学を架橋する試みがあることを知り、新しい学問の息吹を感じた。これからも注目していきたい。そして、このような出会いの機会をつくってくださった指宿信さんに感謝。

・ROOM964(堀田秀吾さん)
http://www.ritsumei.ac.jp/kic/~sht20004/
・Dr. Makoto's Cyber Office(指宿信さん)
http://www.ritsumei.ac.jp/kic/~ibusuki/
・blog of Dr. Makoto Ibusuki(指宿信さん)
http://imak.exblog.jp/


最後は最近トップページをリニューアルしたばかりの東京大学先端科学技術研究センターから。

・「東京大学先端科学技術研究センター、トップページをリニューアル」(新着・新発見リソース、2007-09-11
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070911/1189441141

広報を担当するコミュニケーションディレクターの神野智世子さんから、2つの催しをお知らせいただいた。

2007-09-26(Wed):
先端研設立20周年記念連続セミナー第四回「アートの視点〜気づきから共有へ〜」
(於・東京都/東京大学先端科学技術研究センター4号館ラウンジ)
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/events/2007/0831/

2007-10-18(Thu):
先端研20周年記念シンポジウム
(於・東京都/東京大学先端科学技術研究センター4号館講堂)
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/events/index.php#events117

東京大学先端科学技術研究センターが設立20周年を迎えたことは以前紹介したが、20周年を記念した催しが相次いで行われており、このセミナーとシンポジウムもその一つ。

東京大学先端科学技術研究センター、設立20周年記念のコンテンツを公開」(新着・新発見リソース、2007-01-05
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070105/1167953123

当日は山崎正和さん(劇作家・中央教育審議会会長)による基調講演のほか、「今、先端研は?」(仮題)と出したパネルディスカッションも行われる。パネリストは、

の5名でモデレータを御厨貴さん(東京大学先端科学技術研究センター教授)が務めるという。参加申し込みは先着順120名まで。

ところで、東京大学先端科学技術研究センターでは20年史を9月にも刊行するはずだが、これも一種の社史・団体史だろう。大学や研究機関の機関史を集めている図書館はあるのだろうか。ご存知の方、ご教示を。