2008-01-31(Thu): 「ネット情報だけで記事」報道に思う

読売新聞の記者が他社のサイト上の情報を盗用して記事を書いたという事件があった。各紙で次のように報道されている。

・「読売記者、ネット情報だけで記事 休職1カ月処分 金沢」(朝日新聞2008-01-31
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200801310023.html
・「ネット情報だけで記事・読売記者、休職1カ月の処分」(日本経済新聞2008-01-31
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080131AT1G3103831012008.html
・「読売記者がネット情報だけで記事出稿」(産経新聞2008-01-31
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080131/crm0801311302034-n1.htm
・「読売新聞:金沢支局の記者処分 取材せずに未確認報道」(毎日新聞2008-01-31
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080131k0000e040060000c.html
・「読売記者、取材せず記事執筆=ネット他社情報基に、懲戒処分−石川」(時事通信2008-01-31
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008013100764

朝日新聞日本経済新聞産経新聞は申し合わせたように「ネット情報だけで記事」と伝えている。しかし、この事件の本質は他社の報道内容を盗用し、金沢大学のコメントを捏造したことにある。それにも関わらず、このような見出しをつけるとは、問題のすり替えだ。「ネット情報だけで記事」を書いたことが問題なのではなく、盗用と捏造が問題なのである。

さて、記事では「取材」とは人に聞きだすことだけを想定しているかのような印象を受けるが、書かれたものから事実を引き出すことも取材の一つの形と思う。ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)は、基本的にウェブ上の情報に取材し記事を書いている。そして、それが一つの報道スタイルだと考えている。プロの記者がお粗末な事件を起こし、報道各社が横並び一線で問題をすり替えることで、「ネット情報だけで記事」を書くことが問題であるかのようにされてはたまったものではない。