2008-04-20(Sun): 図書館での貸出記録の保存をめぐって−行政は説明責任を果たし、市民は慎重で冷静な議論を(3)

・「図書館での貸出記録の保存をめぐって−行政は説明責任を果たし、市民は慎重で冷静な議論を」(編集日誌、2008-01-16)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080117/1200557466
・「図書館での貸出記録の保存をめぐって−行政は説明責任を果たし、市民は慎重で冷静な議論を(2)」(編集日誌、2008-01-19)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080120/1200806738

と2回に渡って取り上げた話題だが、新たな進展があった。

2008年4月12日付で東京の図書館をもっとよくする会が見解を出している。

・「「練馬区立図書館貸し出し履歴保存」問題にかかわる本見解」(東京の図書館をもっとよくする会、2008-04-19)
http://motto-library.cocolog-nifty.com/main/2008/04/post_043c.html

見解にはところどころうなずけるのだが、「図書館のインターネットを含めたコンピュータ・システムを充実させる」を「目標に掲げて活動する団体」としては力不足なように思える。確かに練馬区立図書館の考えは浅く、批判されてしかるべきだろう。だが、以前に書いたように

貸出記録がもたらす可能性にも目を向けよう。運用を誤れば、貸出記録は「貸出者全体の監視システム」にもなるだろう。だが、逆に公共図書館の利用者サービスを画期的に向上させる仕組みの土台となるかもしれない。ここに示した以外にも、多種多様な可能性が考えられるはずである。それだけに、今回の練馬区立図書館の事例をもって、貸出記録の利用で広がりうる可能性を閉ざすことになってはいけない。どうか、図書館関係者の方々、そして図書館をよりよくしたいと願う市民の方々には、多様な可能性を考えながら慎重な議論を冷静に行うようお願いしたい。

・「図書館での貸出記録の保存をめぐって−行政は説明責任を果たし、市民は慎重で冷静な議論を」(編集日誌、2008-01-16)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080117/1200557466

貸出記録が持つ多様な可能性は論じ切れていない……。

だが、問題の担い手を一つの団体に限ることはない。大学院生の中にはこの問題に科学的に取り組もうという動きがある。たとえば、

・「メモ−いくつかのブログから」(編集日誌、2008-03-25)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080327/1206572972

で紹介したharuka-izumiさんは修士論文で「利用履歴の活用に関する意識調査−新たな図書館サービスに向けて」という研究に取り組むという。

・「修士論文中間発表」(Sweet Candy はてなダイアリー版、2008-04-20)
http://d.hatena.ne.jp/haruka-izumi/20080420/1208693191

当日中間発表を聞いたmin2-flyさんが

全部ひっくるめて研究成果に期待していますm(_ _)m

・「貸出履歴利用に関する修論中間発表を聞いてきた」(かたつむりは電子図書館の夢をみるか、2008-04-19)
http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20080419/1208603334

と述べているがまったく同感。非常に楽しみな研究が筑波で日夜進められているのかと思うとワクワクしてくる。