2008-12-29(Mon): 現地に現存する唯一の陪審法廷が消えようとしている

日本3名園の一つ、兼六園に近い金沢地裁。その敷地一画に築80年の木造平屋がひっそり建っている。日本でも昭和初期にあった陪審法廷が開かれ、残っている最後の建物だ。8月まで弁護士会が入り「金沢法曹会館」と呼ばれていたが、裁判員制度スタートに伴い地裁の増築が決まり、来年度中に取り壊される。

・「最後の陪審法廷跡、姿消す 来年度取り壊し、金沢」(47NEWS、2008-12-27)
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008122701000395.html

実に残念なニュース。金沢の法曹界では、保存の議論がされたのだろうか。

すでに、町村泰貴さんが、

よそに移築するくらいの費用は惜しむべきでない。
(中略)
陪審法廷は、立命館大学桐蔭横浜大学に移築復元されている。これと同様のやり方でよいから、金沢大学ロースクールが引き受けるとよい。

・「裁判所は建物の文化的価値を知らない?」(Matimulog、2008-12-28
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2008/12/court-ad18.html

と述べているが、まったくその通りだと思う。

・金沢大学法科大学院
http://www.jd.kanazawa-u.ac.jp/
・金沢大学法学類・法学部
http://www.law.kanazawa-u.ac.jp/

のいずれでもよいので、金沢大学への移築復元に取り組めないものだろか。これができないのであれば、金沢大学法科大学院が掲げる「地域に根ざした法曹教育の拠点」という基本理念が泣く……。法科大学院の見直し論議が高まる中、金沢大学も他人ごとではないようだ。

・「金沢大学法科大学院の課題と改善策について」(金沢大学法科大学院、2008-10-21)
http://www.jd.kanazawa-u.ac.jp/function/info081021.html

このような改善策も大切だろうが、地域社会に向けて、北陸に金沢大学法科大学院がある意味をあらためて問いかける上でも、陪審法廷の保存を面目を保つよい機会ではないだろうか。

立命館大学末川記念会館
http://www.ritsumei.ac.jp/mng/gl/suekawa/
桐蔭横浜大学 - 横浜地方裁判所陪審法廷
http://www.cc.toin.ac.jp/MA/main/tenji/jury/tenji.htm
法務省裁判員制度コーナー - 陪審法廷
http://www.moj.go.jp/SAIBANIN/koho/gallery02.html

なお、立命館大学末川記念会館にある松本記念ホール陪審法廷には行ったことがある。そのときの写真を附しておこう。