日本科学未来館のメールマガジン「Miraikan News」通算200号に到達

日本科学未来館メールマガジンMiraikan News」が通算200号に到達した(2006-08-04)。「Miraikan News」は2002年8月15日に「MeSci News」として創刊され、日本科学未来館の愛称が「Miraikan」になったことを受けて2005年1月7日の第121号から現在の誌名である「Miraikan News」に改名している。この4年の間に200回発行したことになる。創刊号では、次のような趣旨が語られている。

日々進化する未来館の情報をいち早くお届けしたい。そんな思いから『MeSci News』は生まれました。ここから、新しい未来館にアクセスしてみてください。

200号の歴史を通して、この創刊趣旨がどの程度達成されているだろうか。200号到達は心から祝うものの、同時に公の事業である以上は効果のほどを検証していく必要があるだろう。
これからの課題として、数点指摘したい。

(1)部数の明記
毎号、メールマガジンの部数を明記すべきである。日本科学未来館の内部、あるいは日本科学未来館の設置・運営母体である科学技術振興機構JST)の内部で、メールマガジンによる広報事業を評価する際に、必ず部数を一つの指標としていることだろう。これは「Miraikan News」に限った話ではないが、このような評価指標となる数値は公開すべきであると思う。もちろん部数は絶対的な指標ではない。しかし、どれくらいの読者数がいるのかという事実は第三者日本科学未来館の事業として「Miraikan News」を評価する際に、欠かすことのできない情報である。過去分を含め公開するよう望みたい。
(2)バックナンバーの公開
Miraikan News」(「MeSci News」を含む)はバックナンバーを日本科学未来館のサイトで公開しており、この点は評価できる。しかし、公開するスピードが遅い点はあらためてほしい。メールマガジンの発行と同時にサイトでバックナンバーを公開すべきだろう。おそらくはシステム運用上、数日遅れとなってしまうという事情と、発行とバックナンバーの公開を同時に行うとメールマガジンの部数が伸び悩むという懸念があるのだろう。だが、前者は開発・運用の両面から解決可能であり、後者は理由とすべきことではない。むしろ、直近の号がサイトで公開されていないデメリットを考えてほしい。たとえば、この記事のように第200号に言及しているにも関わらず、バックナンバーへのリンクを提供できないという状態は非常に不便極まりない。そして、発行する日本科学未来館の側からすれば、批判や議論のベースとなるバックナンバーを公開していないことで、根拠に欠く非難を浴びる余地を残している。情報発信上の危機管理としても望ましいことではない。
なお、バックナンバーに関連して、もう一点指摘したい。「Miraikan News」(「MeSci News」を含む)には、さらにその前身として2002年5月31日に創刊された「MeSciレポート」というメールマガジンがある。「MeSciレポート」から「MeSci News」(現在の「Miraikan News」)に移行する際に、「MeSciレポート」のバックナンバーは削除されてしまった。この幻のメールマガジンのバックナンバーの公開を復活してほしい。
(3)リンクしやすいバックナンバー
Miraikan News」のページでバックナンバーが公開されているが、各号の内容に入るリンクにJavaScriptを使用し、個々のバックナンバーページではブラウザのアドレスバーが表示されないようになっている。しかし、先に述べたように配信内容に対する批判を受け、ないように基づいた議論を保障するうえで、バックナンバーへのリンクは重要な行為である。にも関わらず、このように各ページのURLがわかりにくい状態は結果的にリンクをしにくくしている。ウェブの技術的な観点から言っても、ここでJavaScriptを使用する理由は特に見当たらない。ささいに思えるかもしれないが、このような操作性の改善も心がけてほしい。
(4)内容
Miraikan News」の内容に対する評価は人それぞれだろうが、評者には退屈な内容である。もちろん、このような意見がすべてではないだろう。だが、実際の施設としての日本科学未来館の面白さ、展示内容の良さに比べて、「Miraikan News」はやはり見劣りしないだろうか。単なるイベント情報と展示内容の紹介にとどまっている現状では、このような指摘に反論できないのではないだろうか。
では、どのような改善をすべきという話になるが、まずその課題を洗い出すために、日本科学未来館には外部の声に耳を傾けてほしい。その際、読者に対するアンケート調査だけに依存するだけではいけない。読者対象のアンケートは現時点での読者の満足度を図る指標にしかならず、まだ発掘できていない読者が望む姿を教えてくれるわけではないからだ。さて、一つの方法として、すでにインターネットでの活動に実績を持つサイエンスライターの方々にヒアリングを行うことを提案したい。当然、一定の対価を必要とするが、インターネットでの科学情報の伝達と流布に試行錯誤してきた彼ら・彼女らの取り組みには学ぶべきところが多いだろう。

以上の4点を課題としてあえて指摘することで、200号到達を祝いたい。これはけっして皮肉ではない。200号までの苦労を理解するからこそ、専従のスタッフが有償で行っている業務に対して、無償でこれだけのコメントをするのだ。日本科学未来館科学技術振興機構JST)の関係者の方々には、この点ご理解いただきたい。

Miraikan News
http://www.miraikan.jst.go.jp/j/goodstool/mail/
・第001号(2002-08-15)
http://www.miraikan.jst.go.jp/j/goodstool/mail/backnumber/001.htm
・第121号(2005-01-07)
http://www.miraikan.jst.go.jp/j/goodstool/mail/backnumber/121.htm
日本科学未来館
http://www.miraikan.jst.go.jp/