国立情報学研究所(NII)、「台風前線」を公開(2006-07-19)

国立情報学研究所(NII)が「台風前線」を公開した(2006-07-19)。表現が難しいが、台風が発生した際、だれでもブログのトラックバック機能で現地の状況を送信できるユーザー参加型のサイトである。ケータイメールから投稿する機能も準備中であり、近日中に公開されるようだ。既成の情報を集約するのではなく、インターネットを利用する人々の一人ひとりの知識や経験、見聞を集約して蓄積するものであり、いわゆるWeb2.0を象徴するサービス形態の一つ「CGM」(Consumer Generated Media)や「UGC」(User Generated Content)といえる。また、「台風前線」を構成する情報は既存のサイトの情報を取り込んだものが多く、同じくWeb2.0のキーワードである「マッシュアップ」の考え方に基づいてつくられている。
開発・公開は同研究所の北本朝展さん。サイトで使われているFlashはユナイティア株式会社の制作。同じく北本さんによる「デジタル台風:台風画像と台風情報」と同様、学術サイトという枠を超えて、Web2.0系のサイトとしてきわめてクオリティが高い。ただし、実際に利用者にその存在を知られ、実際の台風発生時にどれだけの利用者を集められるかが鍵となるだろう。台風という災害を待ち望むことは不謹慎であり、その意味ではこの「台風前線」が人気を博することがあっては困るが、いずれ真価を問われ発揮する日が来るだろう。
なお、一連のニュースをみていると、北本さんは災害研究者と思われるかもしれないが、ディジタル・シルクロードやJabion−日本語バイオポータルサイトなどを手がけてきた情報学研究者である。

・台風前線
http://front.eye.tc/
・デジタル台風:台風画像と台風情報
http://www.digital-typhoon.org/
・「「過去25年分の台風画像データベースを公開 −ユーザ参加型台風情報サイト「台風前線」も同時公開−」報道発表・プレスリリース資料」(国立情報学研究所2006-07-19
http://www.nii.ac.jp/news_jp/2006/07/25_1.shtml
・ユナイティア株式会社
http://www.uniteair.co.jp/
・「ユーザ参加型台風情報サイト「台風前線」」(ユナイティア株式会社、2006-07-19
http://www.uniteair.co.jp/news/archive0719.html
・北本朝展研究室
http://agora.ex.nii.ac.jp/~kitamoto/
国立情報学研究所(NII)
http://www.nii.ac.jp/
・「国立情報学研究所、過去25年分の台風画像データベースを公開」(INTERNET Watch2006-07-19
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/07/19/12706.html
・「台風の衛星写真25年分をWeb公開 ブログ連携も」(ITmedia News、2006-07-21
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0607/21/news100.html
・「台風情報、生の声と一緒に入手・国立情報学研がサイト」(日本経済新聞2006-07-21
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060722AT1G2004022072006.html
・ディジタル・シルクロード
http://dsr.nii.ac.jp/
・Jabion−日本語バイオポータルサイト
http://www.bioportal.jp/