2006-11-05(Sun): 機関リポジトリとOCWの関係

ここのところずっと頭から離れない疑問がある。機関リポジトリOCWオープンコースウェア)はどのように差別化されているのだろうか。あくまで印象だけで語ると、機関リポジトリは主に研究成果を、OCWは主に教育資源を収録・保存・公開しているように思う。ちなみにOCWについては日本オープンコースウェア・コンソーシアム(JOCW)が

OCWとは大学で正規に提供された講義とその関連情報のインターネット上での無償公開活動

と定義している。機関リポジトリについては推進する国立情報学研究所(NII)の次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業のページには特にあらたまった説明がないが、千葉大学附属図書館の機関リポジトリ千葉大学学術成果リポジトリ CURATOR」にはこう示されている。

学内で生産された電子的な知的生産物(学術論文、学位論文、プレプリント、統計・実験データ、教材、ソフトウェアなどの学術情報)を蓄積、保存し、学内外に公開するためのインターネット上の発信拠点

これだけを比較すると、OCWは必ずしもサイトだけを意味するのでなく、講義資料の無償公開という行為とその背景にある思想を含んだ言葉のようだ。他方、機関リポジトリは明確に「インターネット上の発信拠点」とうたっているように、場所というニュアンスが強いように思える。だが、いずれにせよ、その違いはあまり明確ではない。それぞれ異なる背景や経緯を持つという事情もあるだろうが、外部の目から見ると、やはりわかりにくい……。

もちろん、この違いは関係者の間では意識されているようだ。専門図書館協議会全国研究集会で国立情報学研究所の阿蘓品治夫さんが用いた報告資料「機関リポジトリ振興を通じた最先端学術情報基盤(CSI)構築」には、機関リポジトリの「システム面の課題」としてOCWなどの外部システムとの連携模索が挙げられている。
機関リポジトリOCWに関係している方々からのご意見やご説明がいただければうれしい(続く)。

国立情報学研究所 - 次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業
http://www.nii.ac.jp/irp/
日本オープンコースウェア・コンソーシアム(JOCW)
http://www.jocw.jp/index_j.htm
千葉大学学術成果リポジトリ CURATOR
http://mitizane.ll.chiba-u.jp/curator/
・阿蘓品治夫「機関リポジトリ振興を通じた最先端学術情報基盤(CSI)構築」【PDF】
http://www.jsla.or.jp/seminar/document/s1-JST-asoshina.pdf