科学技術振興機構(JST)、SciencePortal(サイエンスポータル)をリニューアル

科学技術振興機構JST)がSciencePortal(サイエンスポータル)をリニューアルした(2006-10-11)。まず「科学技術の今を伝えます」というサイトのコンセプトがトップページをはじめ、随所にちりばめられているのもよい。SciencePortal(サイエンスポータル)の利用者、そして運営する科学技術振興機構JST)の関係者にとって、このようなコンセプトの明示が持つ意味は小さくない。
さて、実際「ポータル」と称するにふさわしいだけのコンテンツ量となっている。特に新聞社のサイトに掲載されているニュースや科学技術振興機構JST)が公開している他のデータベースへリンクを数多く設けている点がすばらしい。ポータルとは、あくまで入口であって、基本的には様々なコンテンツへ利用者を誘導していくことが目的である。結果として、ポータルはただ通過するだけで他のサイトへと利用者が去っていくことになるわけだが、それこそがポータルの意義といえる。ときとして、ポータルの意味を履き違えているサイトを見かけるが、SciencePortal(サイエンスポータル)はポータルの役割を十分に認識してつくられていることがうかがえる。
だが同時に、膨大な情報をどのようにわかりやすく配置していくかが、これからの課題だろう。トップページの構成要素は、ページ左側の「デイリーコンテンツ」とページ右側の「お役立ちコンテンツ」に分けられているが、「ニュース」「カレンダー」「公募」の3つのコンテンツを「デイリーコンテンツ」にとしてひとまとめにすることには無理があるように感じられる。実際、「ニュース」の部分はページ中央に大きく場所をとって表示するようになっているように、「デイリーコンテンツ」における「ニュース」の存在感が大きすぎるのだ。「科学技術の今を伝えます」がサイトのコンセプトであるなら、「ニュース」は独立させてトップページの主要な構成要素の一つに格上げし、「カレンダー」「公募」といった関心がある利用者は習慣的にチェックする情報だけをひとまとめにしたほうがよいだろう。また、「きょうは何の日」「今日の失敗知識」「本日の1枚」といった、その日限定のお楽しみコンテンツはなるべく一箇所にそろえたほうが愛読者を獲得しやすいはずだ。課題を挙げだせばきりはなく、究極のポータルは一日二日でできあがるものでもない。編集部の方々には、ぜひ日々の継続的なインターフェース改善に取り組むようお願いしたい。
ただし、「ご利用条件」にあるリンク規定については苦言を述べたい。「5. リンクについて」で、せっかく

本サイトへのリンクの設定は、公序良俗に反する目的、内容でない限り、また、フレーム内に当サイトのコンテンツを表示するなど、著作権法上の適法性を欠く方法によらない限り、自由です。
リンク先としては、本サイト上のどのページに対しても自由ですが、コンテンツのURLは予告なく変更する場合がありますのでご注意ください。

という自由な、しかし常識的なスタンスをとっているにも関わらず、そのすぐ後に

本サイトへのリンクを設定した場合、ご意見・お問合せからご連絡ください。フォーム本文の先頭に『サイエンスポータルへのリンク設定連絡』と明記し、貴サイトのURLとご連絡先、そのメールアドレスを漏れなくご記入ください

と続いている。連絡を求めてしまっては、「リンクは自由です」と謳っているとはいえない。SciencePortal(サイエンスポータル)は、利用者のアクセスを集め、「科学技術の今を伝え」ることを目的とするサイトのはずだ。であれば、少しでも多くのリンクを得られるよう、利用者が敷居に感じる可能性があるものは限りなくなくさなくてはいけない。この文面はポータルという自身の存在意義のためにもぜひ見直してほしい。

・SciencePortal(サイエンスポータル)
http://www.scienceportal.jp/
・「リニューアルしました。」(編集だより、2006-10-11
http://scienceportal.jp/blog/0610/061011.html
科学技術振興機構JST
http://www.jst.go.jp/
・ご利用条件
http://scienceportal.jp/terms.html