アジア経済研究所図書館、「デジタルアーカイブス『近現代アジアの中の日本』」を公開(2006-12-08)

アジア経済研究所図書館が「デジタルアーカイブス『近現代アジアの中の日本』」を公開した(2006-12-08)。「はじめに(公開にあたって)」によれば、

  1. 戦前・戦中期において日本の関係機関がアジア各国で刊行した膨大な刊行物について、現在の書誌・所蔵情報をデータベース化し、資料の所在を明らかにすること
  2. 稀少な刊行物については全ページ電子画像化して保存し、インターネット上で公開すること

を目的としており、現時点で書誌情報については図書・年刊類約21000点、雑誌約1200タイトルの電子化を終えているという。また、所在情報については約12万冊の所在を明らかにできたという。また、アメリカの議会図書館等が所蔵する南満州鉄道株式会社の刊行物3147点、国立国会図書館が所蔵する満鉄関係資料の627点、合計3774点の画像が電子化されている。これまでインターネットではデータが少なかった満鉄関係の資料が一挙に登場したことになる。また、

  1. 韓国統監府・朝鮮総督府所属官署概表
  2. 朝鮮歴代統監・総督及び政務総監一覧表
  3. 台湾総督府・所属官署概表
  4. 台湾総督府歴代総督一覧表
  5. 満州帝国政府官署画概表
  6. 満州国歴代総務庁長及び総務長官・次長一覧
  7. 満州国地方行政区画変遷
  8. 関東州官署概表
  9. 歴代関東都督及長官一覧
  10. 歴代民政長官、事務総長及び総長一覧
  11. 歴代関東州庁長官一覧
  12. 関東州行政区画変遷
  13. 満鉄歴代総裁一覧表
  14. 満鉄組織一覧
  15. 満鉄調査機関変遷概表

など、当時の政治制度に関する基本資料が多数公開されており、非常に総合的かつ体系的なサイトとなっている。
さて、デジタルアーカイブスの内容とは別に、このサイトの情報を公開し共有しようという姿勢がうれしい。「公開にあたって」という項目以下には、

  1. はじめに
  2. データベースの構築方法
  3. データの収録状況
  4. 構築の経緯
  5. 今後の課題

といった非常に具体的な文章が載せられており、後に続こうとする他の機関に大いに参考となるだろう。ただ、その分、一般の利用者にとっては、少々わかりづらく難しそうなサイト構成になっている。アーカイブ構築の方法を含めた専門的な情報の発信と一般利利用者への適切なナビゲーションをどのように両立させていくか、今後の取り組みにも注目したい。

デジタルアーカイブス「近現代アジアの中の日本」
http://opac.ide.go.jp/asia_archive/
・はじめに(公開にあたって)
http://opac.ide.go.jp/asia_archive/intro/intro_1.html
・アジア経済研究所図書館
http://www.ide.go.jp/Japanese/Library/
・アジア経済研究所
http://www.ide.go.jp/Japanese/