2007-05-27(Sun): 可視化の持つ意味

・「「見えなかった情報」を可視化‐NII、論文300万件をGoogle検索対象に」(ITmedia News、2007-05-25)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0705/25/news041.html

ITmedia Newsの記者・岡田有花さんによる国立情報学研究所(NII)の大向一輝さんと、阿蘇品治夫さんへのインタビュー記事。大学や研究機関で情報発信に関わる方々は特に次の一節が重要と思う。

「普通の人がものを探す中で、いきなりCiNIIに来ることはないだろうが、Google検索でこのページにたどりつくことはあるだろう」と、NIIコンテンツチーム係長の阿蘇品(あそしな)治夫さんは語る。

NII、CiNII、Googleといった固有名詞を自分になじみの深い固有名詞に読み替えてみるといいだろう。大手の商用サイトといえど、利用者がそのサイトに訪れてくれるわけではない。作成にどんなに手間暇をかけたコンテンツであっても利用されなくては意味がない。コンテンツは利用されてこそ意味を持つ。だからこそ、コンテンツの開放を進めるべきなのだ。

コンテンツの開放に積極的になるか、消極的になるか、その姿勢を分けるのはおそらくはコンテンツに対する「愛」ではないかと思う。この記事の中で大向さんはこう答えている。

「コンテンツを作っているのは個々の人。ものを作っている人が報われるようにしたい」。

思わずひざを打つ言葉だ。コンテンツやコンテンツをつくる人への敬意があればこそ、コンテンツの利用促進に目がいき、最終的にコンテンツを開放する方向へと進むのだろう。

なお、この話題については、私自身も以下の記事を書いている。お読みいただければ幸い。そして、一人でも多くの人、一つでも多くの組織がコンテンツの開放に前向きになってくれればうれしい。

・「「Web2.0」時代に対応する学術情報発信へ−真のユーザー参加拡大のためのデータ開放の提案」(「情報管理」49-11、2007-02-01
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/49/11/49_632/_article/-char/ja